チョコの中身
カゲトモ
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「ミケ、なんか太った?」
「え、そんなことないわよっ!」
決起会、とは名ばかりのただの飲み会。長期休暇(と言うほどでもないけど)明けのときはいつも気合を入れる為にこうやって二人で飲むことにしていた。いや、冷静に考えると他にすることがありそうだ。疲れた身体を癒すこととか。
「あんただってちょっと太ったんじゃない?」
「そうか? 変わらないと思うけど」
お互い休み前は何かと忙しくてミケからメッセージで『Enjoy your holiday!』と来ただけで顔は見てなかったけど、やっぱりちょっと太った気がする。幸せ太り?
「なっそんなんじゃないわよ! 第一太ってないし」
「本当に?」
なんか顔とかシュッとしていたはずなのになんか“ぷにょん”って感じがするぞ。筋肉ムキムキが売りだったのにどうしたよ?
「えっ本当にっ!?」
「お前、さては今日、鏡を見ずにメイクしていたのか。それじゃぁあの顔も納得だわ」
「うるさいわねっ! メイクはいつもと変わらないハイクオリティでしょ!」
「はい? くそりてぃ?」
「ぶんなぐるわよ」
フンッ、と鼻息を荒くしてミケは両手で頬を挟む。メイクオフしたミケは完全に男で、彫りの深い男らしい顔なのにうっすらと二重あごになっているのか誠に残念だ。
「最近鍛えてないの?」
「そんなことわよ、ちゃんとジムだって行っているし」
と言ってから聞こえないような小さい声で「最近サボり気味だけど」と聞こえた。なに、行く暇もないようなことがあるわけ?
「ニヤニヤしないでよ」
「してねぇよ」
ただまだ喧嘩したとかそう言うの聞いてないし、仲良くしているんだなぁって思って。初彼女と。
「デートとかしてるんだろ?」
付き合いたてだったら別れた十分後にはもう会いたくなるくらいだもんな?
「さすがにそこまでじゃないけど・・・」
けど? 大人だからしないって?
「ビデオ電話も出来るし」
あー、そっちね。別に離れていても顔が見られるならそんなに寂しくないのかも? 時代は変わったねぇ。両親の時代はラブレターか誰が出るか分からない家の固定電話しかなかったんだぞ?
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