第3話キホンノ作業その1

『園芸とは、お花のみではない』


 ホームセンターに行くとガーデニングブームでお花のコーナーがどーんと広いけど、園芸って世界広いー!


 我ら農業高校園芸科、3年間で学ぶ事


 花、主にハウス栽培の季節の切り花、鉢植え、蘭、そして路地栽培の菊と葉牡丹、薔薇


 野菜、ハウス栽培のトマト、メロン、イチゴ路地栽培の大根、白菜


 果樹、桃、葡萄


 以上!奥深い園芸の世界なのだ!ちなみに3年生になれば3つの内どれかを選び、更にその道を極めるのである。


 6月も過ぎ、ぼちぼち草むしりや後片付けにも合格を頂ける様になったヒヨッコ達は、最初に乗り越える山が訪れる。


『灌水作業』いわゆる水やり、チビッ子でもこなせる作業なのだが、コレが寒くなる前に極めなくてはならない作業。


 何故か?それは冬寒いから、この一言に尽きる。


 朝の当直作業は主にハウスの中で灌水作業、ハウスっても広いぞー!何十万鉢がずらーと整然と並べられている。当然、ホースにシャワーヘッドつけての作業なのだが、


 上からジャーは厳禁!お花が咲いてたりつぼみを持ってる場合は特に厳禁!水がかかれば傷んでしまうー、病気になってしまうー!


 実習講師にビシバシに注意をうけ、取り掛かる。


 キホンのスタイル!ながーい、ながーい灌水用のホースは水栓の元で地面に八の字に巻いて置いてあるから、先ずはシャワーヘッドを外して内側を洗う!


 これをしとかないと悲劇が訪れるのよ、1年生は皆洗練を受けている。


 そしてセッティングを済ますと、利き手にシャワーヘッドとホースの繋ぎ部分を持つ。


 続いて背中にホースを通して、高さが腰になるように、反対の手で調節する。これで体勢は整ったわ!


 蛇口は勿論全開!左右に別れて並べられてる可愛い鉢植えちゃん達に1つ1つ水を与えて行くー、


 進むに連れて、ホースが重くなるから下半身で動かして行く為の腰回し!長いホースに水が通るとひたすら重い、行きに右なら帰りは左、


 しかし気をつけなくてはならない、地下水利用なので、ホースの中に緑の藻が発生してるお陰で、先程洗ったヘッドの内側に溜まってくる。


 早めに対処しないと!


 ぶっしゃぁぁあーとホースとの接合部から水が爆発する。朝っぱらから頭から水を被ることになるのだ!


 なので、途中水の出が怪しくなると洗う、最大のポイントと先輩に言われた。


 右から行くと、帰りは左、ただそれだけー


 なのに何故か1年生徒はこの時期、胸から下は濡れ鼠と化している。同じ作業してる先輩は、袖口さえも濡れてない!


 なーぜーだー?そして早いささあーと終わらすと、テキパキとホースを時間内に巻いて終了!


 アハハー1年生終わらないーホース巻いてる時に大抵、キンコンカンコンが聞こえてくる


 当直でホームルーム遅れるのは多めに見てくれるとは言うものの、慌てる、慌てる、しかしホース巻き方八の字も講師に合格貰わなければ、やり直しとなる。


 うん、負けない!我ら農業高校園芸科、蛇の様にウネウネのたうつホースなんかには敗けてなるものかー!






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