ひさしぶりに書いた
@akiko_ooo
第1話
もう2時間も窓を流れゆく雑木林を眺めている。あまり背の高くない木、ところどころ山火事で下半分が焼けている木。BGMは世界のどこかの誰かが作った、けれど私好みのプレイリスト。何も考えていない、なんてことはない。子どもの頃、どうして大人はただ“座っている”ということができるんだろうと思っていたけれど、いつ頃からか私もそれができるようになった。大人には考えることがたくさんあるのだ。
2時間。いろいろなことを考えていたけれど、隙間隙間に入ってくるのは隣で寝ている彼女のこと。もう10年以上の付き合いだ。中高を卒業して、皆それぞれの道に進み、どれだけ仲のよかった子でも疎遠になっていく中、ずっと私のそばにいてくれる彼女。中高でずっと一緒にいるような友達だったわけでもない、住んでいるところが近いわけでもない、双方頻繁に地元に帰るわけでもない、けれど夏には必ず連絡をくれる彼女。
勘違いしそうになる。同年代の女の子たちのように盛り上がるわけでもないのに毎年必ず旅行に行くこと、この年代にしては出てこないほうがおかしい恋愛話、メールの脈絡のない「好き」。
もしかするとどちらかが勇気を出せば、終わる、もしくは始まる話なのかもしれない。けれど、怖くて。いまのこの心地よさを手放したくなくて。
あぁ、まただ。私はこの夏もまた同じ結論に至った。ここまでくると我ながら、ばかばかしくなる。
ふ、と右側のイヤホンが外れた。
「なに、かんがえてるの。」
隣を見れば、まだ眠そうな彼女が。それだけ言うと私の腕に手を回し、身をこちらに寄せて再び目を閉じる。
ほら、あなたは。
ひさしぶりに書いた @akiko_ooo
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