第8話 過去

「なぁ細道。俺は、過去に行きたい」


「む… なんだい急に」


「いや、過去に行って何かを少し変えたら、今の世界は大きく変わるだろ? そうすりゃ新しい出会いが一杯で楽しいじゃねぇか」


「いやいや、なんて意味の無い話」


「何がだよ?」


「もしそれで今が変わったとして、君はその世界をずっと生きてきた事になるんだから、新しい出会いなんて全く無いよ」


「むぅ?」


「それに……」


「何だよ?」


「十年前の自分に会うつもりなら、今の君の記憶の中に十年後の自分と出会った記憶があるはずだよ」


「もう何言ってるかわかんねぇ! そんな記憶ねぇし!」


「そりゃそうだよ……」

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