第6話 一流の……

「なぁ、〇〇ってお店あるだろ? あそこは俺達みたいな平凡な人間が食べてもその美味さを理解できないくらいに美味い、世界一の料理を出すらしいぜ」


「ほぉ」


「限られた味覚をもった人間だけがその味を堪能できるんだと」


「へぇ」


「おい、もっと興味持てよ!」


「えー それはちょっと難しいよ」


「なんでだよ」


「だって世界一の料理なわけがないじゃないか。世界の大半を占める平凡な人間が理解できない味なんだよ? それって最早まずい料理じゃないか」


「た、たしかに……」


「料理人は一流になればなるほど、庶民的になるのさ!」


「おお…… なんにも料理できないくせに細道がカッコよく見える」

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