寒い冬、君を待つ
@keima531
君の帰り
−−強烈な寒波のピークが訪れており雪もちらつくでしょう
テレビからリポーターの声。それだけで身震いもの。
今日は絶対に外に出ない!
と決意して買い物も昨日のうちに済ませたし家に引きこもる。寒さはやる気さえ奪っていく。
そろそろ彼も帰ってくるだろう。
−−カチャ
「あ、帰って来た」
玄関からの音に駆け出す私
「おかえり!」
「ただいま〜寒いぃ〜」
「大寒波だもん……ってあれ?」
「ん?」
首をすくめて部屋に入ってくる彼
でもその首にあるはずのマフラーは手に握られていて
「……なんでマフラー手に持ってんの?」
「ああ、これはね」
マフラーは腕ごと手の中の何かに巻き付けられているらしい
くるくると外していくとそこには、
「はい!これ!」
「……焼き芋?」
彼の腕の中の紙袋から漂うふんわり香ばしい香り
「そう!焼きたて売ってたからさぁどうせなら一緒に食べたいな〜って!」
冷めないように!と笑顔で袋を開けこちらに差し出す彼
そういう素で純粋無垢なのは如何なものか…かわいすぎる…
「うわ、どうしたの」
無言で静かに彼の胸に顔を埋める
焼き芋の香りとかすかな彼の香りが混ざって幸せが混みあげる
「……可愛いは時に罪だと思う」
「え?なに?どうしたの?」
思う存分に香りを吸い込んでやる気のチャージ
「なーんでもない!よし、お茶入れるね!着替えてきて!」
「へんなのーすぐ着替えてくる!」
パタパタ歩いていく彼の後ろ姿。こんなに可愛い彼を待つ。
こんな寒い日ならばいいかなぁなんて
君がいればどんな日も特別−−
寒い冬、君を待つ @keima531
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