【映画】『若おかみは小学生!』地上波初放送。ある意味トラウマものの話だよコレ

2020年5月17日





 2018年に劇場公開されました『若おかみは小学生!』が、16日(土)にNHK Eテレにて地上波初放送しました。自分はこの映画を劇場で鑑賞する機会を逃してしまったので、今回のテレビ放送はありがたかったです。



 という感じで、今回『若おかみは小学生!』を初めて鑑賞しました。







 公式ページ:https://www.waka-okami.jp/movie/



・あらすじ(Amazonから転載)

 小学6年生のおっこ(関織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する花の湯温泉の旅館<春の屋>で若おかみ修業をしています。どじでおっちょこちょいのおっこは、ライバル旅館の跡取りで同級生の真月から「あなた若おかみじゃなくて、バカおかみなの!?」とからかわれながらも、旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、子鬼の鈴鬼たちに励まされながら、持ち前の明るさと頑張りで、お客様をもてなしていくのでした。いろんなお客様と出会い、触れ合っていくにつれ、旅館の仕事の素晴らしさに気づき少しずつ自信をつけていくおっこ。やがて心も元気になっていきましたが、突然別れの時がおとずれてー。








 確かこの作品、劇場公開と同時期に2クールのテレビアニメが放送されていて、「いやーテレビシリーズ見てないからいきなり劇場版を見てもしょうがないでしょ」という感じで、何やら口コミで好評だったにもかかわらずスルーしていました。が、どうやらテレビシリーズと劇場版は別であり、それぞれ単体で成立している作品であることをあとで知り後悔しました。



 今回テレビ放送を見るにあたって事前に知っていた情報としては、「口コミで好評」と「若おかみはヴェノム」の二つだけでした。まあ、つまりは、事前情報なしで見始めました。






 まず率直な感想としましては、「これはまたすごいシナリオだ」というもの。



 Wikipediaによると原作はベストセラーの児童文学のようで、確かに作風というか仕上げの仕方がまさにキッズ向けアニメ作品といったところ。お話としても難解ではなく、すんなり馴染んでくるようなテンポ感が印象的でした。


 ……というかむしろテンポがよすぎるくらい。体感だととてもスピーディに話が展開していく感覚を覚えたくらいです。おそらく性格の悪い大人なら「とんとん拍子過ぎる!」とか「ご都合展開だ!」とか言い出しそうなくらいでした。自分は「ちょっと駆け足かな?」と感じる程度でありとくに気になりませんでしたけど、気になる人は気になるかもしれません。


 で、このテンポ感の正体を、視聴後この記事を書くにあたっての情報収集の一環で見たWikipediaにて判明しました。




 この『若おかみは小学生!』の原作小説、シリーズで20巻も出しているのです。




 劇場版『若おかみは小学生!』は、原作からエピソードを厳選して90分の映像作品に圧縮したものだったのです。



 そりゃ……ハイテンポにもなりますわ。駆け足気味というか、詰め込み過ぎ? かも。確かに映画を視聴しながらどことなく連作短編の映画を見ているような感覚がしたというか、エピソードとエピソードが細切れになっている感じがしました。


(あと映画とは関係ないですけど、Wikipediaの情報によると原作ではどうやら魔界に行くみたいで、「やっぱり若おかみはヴェノムじゃないか!」と思いました)





 ただ構成的に細切れ感があるものの、一つの映像作品としてまとまりのあるオチになっています。おそらくラストのクライマックスシーンを含めたオチの部分は映画オリジナル展開かと思いますが、物語としての導入部分とうまく絡ませたラストとなっており、主人公の成長物語として充分なカタルシスを得られるような内容になっていました。このあたりにロジカルなシナリオ技巧の巧みさを感じましたね。映画の感想で「泣ける」というのが結構多かったですが、確かに大人が見ても涙腺を刺激する感動作品でした。




 というかこの作品、完全に大人向け映画のような気がします。




 冒頭で主人公の両親が亡くなるので、スタートからかなり重たいお話です。そこから健気に、気丈に振る舞っている主人公に心を打たれて、物語中盤では危うさも見えつつも児童文学らしいハートフルなお話になるも、後半でハートフルを叩き落とすくらいのハートフルボッコ展開は正直「キツイわコレ……」ってなりますね。


 まあ主人公はそのラストの展開と向き合ってオチに繋がりますので見応えとしては素晴らしいものですけど、大人な自分が見てこれなので、子供が見たらそれこそトラウマレベルの作品に映ってしまいますよ。多分、自分がこの映画を子供のときに鑑賞したら、間違いなく鬱アニメとして記憶してしまうでしょう。それくらいに物語としてエグかったです。そういう意味であれば、確かに「若おかみ」はヴェノムでした……。






 ただまあ、いろいろと語りましたが、確かに映画『若おかみは小学生!』は素晴らしい作品だと感じました。口コミで好評だったのも頷けます。




 しかし個人的にあえて難点……というかただのケチをつけるとしたら、キャストの演技が役と合っていなかったという部分でしょうか。いえ、声優ではなく芸能人を起用しているからという話ではないと思います。声優芸能人関係なく、役にハマっているキャラクターと違和感を覚えるキャラクターが共演しているので、その違和感がより目立ってしまっている、という具合でしょうか。エンドロールを見るまでバナナマンが出演していたことに気がつかなかったくらい役に馴染んでいる一方、水樹奈々が演じる小学生はなんかババア感がある、みたいな感じです。これはキャスト側の役作りなのか、それとも監督の指示なのか、ちょっとわからないですね。まあ、些細な要素なので別にいいのですけど。






 といった感じで、映画『若おかみは小学生!』を楽しみました。




 今回HNK Eテレのテレビ放送を見逃した方は、ブルーレイか何かで視聴してみてはいかがでしょうか。








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