【漫画】『薬屋のひとりごと』を紹介。読んだことがある作品がなんか受賞したっぽい

2019年8月31日




 先週「次にくるマンガ大賞2019」の受賞作品が発表されましたね。



「次にくるマンガ大賞」とは、niconicoとダ・ヴィンチが創設したユーザー参加型のマンガ賞。すでに売れているマンガではなく「次に流行るであろうマンガ」の発掘・紹介を目指し創設された。(Wikipediaより一部抜粋)



 ランキング形式で発表されるこの賞も今回で5回目となり、過去の受賞作には、現在テレビアニメ放送中の『Dr.STONE』(前回2位)や、今年アニメ放送された『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(第3回1位)、同じく今年アニメ放送の『約束のネバーランド』(第3回2位)などがあり、また『亜人ちゃんは語りたい』『賭ケグルイ』『僕のヒーローアカデミア』『魔法使いの嫁』などといったアニメ化された人気タイトルが多い印象です。


 毎年受賞作発表当時は「なんかタイトルは聞いたことあるかな~」くらいの認識ですが、その後の作品の人気や映像化といった展開を見るに、ということなのでしょう。



 そんな事実上将来の人気が確約された漫画賞「次にくるマンガ大賞」の今年の結果は、第1位に『薬屋のひとりごと』(原作:日向夏 作画:ねこクラゲ 構成: 七緒一綺 キャラクター原案:しのとうこ)が選ばれました。




 普段あまり漫画を読まない自分ですが、この『薬屋のひとりごと』という作品は以前から知っていまして、少しだけ読んだことがあります。そのため、今まで正直よく知らないタイトルが受賞していた漫画賞に自分が知っている作品が受賞したということがちょっとした驚きでした。え? もしかしてコレこれから人気出ちゃうパターン? 



 というわけで今回のお題は『薬屋のひとりごと』








 あらすじ(Wikipediaより抜粋)

 猫猫は医師である養父を手伝って薬師として花街で働く少女だったが、人攫いによって後宮に下女として売られてしまう。年季が明けるまで目立たぬように勤めるつもりだったが、皇子の衰弱事件の謎を解いてしまったことから美形の宦官である壬氏の目に留まり、様々な事件の解決を手伝わされることとなる。やがて発生した寵姫の失踪事件は、猫猫を巻き込み国家転覆計画に広がっていく。そして明らかになる壬氏の正体。二人の関係は微妙に変化していく。






 自分がこの作品を知ったのは、ツイッターのTLでたまたま宣伝ツイートが流れてきたことがきっかけです。ツイッターではよくプロモーションとして無料漫画が読めるときがあります。それはプロアマ問わず自分の作品のページを画像として添付したツイートを発信することもあれば、出版社などが無料試し読みとしてリンクを貼ったものを発信するパターンもあります。前者のパターンですと、ツイッターで話題になったことで商業誌で連載が決まったといった話も聞きます。


『薬屋のひとりごと』は確か後者のパターンの宣伝で知ったと記憶しています。いつもなら気まぐれで無料お試しを読んでみて、数ページほど流し読みして「なるほどなるほど、そういう作品ね」といった具合である程度満足したら読むのをやめていました。同じようにこの『薬屋のひとりごと』の無料お試しを読んでみたのですが、「アレ? コレ面白くね?」と思いまして、気がついたらお試しを最後まで読んだ上に第1巻を購入していました。いやはや、恐ろしい……。




 この作品は中華風の世界が舞台の所謂後宮ものです。後宮もの作品のイメージとしては少女向けという認識を持っていて、確かにこの『薬屋のひとりごと』も少女漫画然としたものとなっています。自分としては中華風世界観も後宮ものも食指が動くものではないのですが、しかしこの漫画は楽しく読めてしまいました。その要因を考えるに、ひとえに作品が持つテンポのよさ故なのではと思います。




 この作品は調べたところ「小説家になろう」から書籍化された小説のコミカライズであるようで、広義的になろう系に分類されるとおもいます(単純になろう発だからなろう系)。


 主人公の女の子は元々薬屋であり、人さらいによって後宮で働かさられて、持ち前の能力を活用していくことになります。それは知識だけではなく、以前から自身の体で人体実験するほどのマッドサイエンティストであり、それ故の毒耐性を獲得しているため、体自体も活用していくのです。後宮は要人の集まりみたいな場所ですから、当然暗殺をやってやられての世界になり、食事においても毒見役が必要となります。そこにおいて薬のプロである主人公が毒見役に抜擢されるのです。某コナンの「ペロッ……こ、これは、麻薬!!」みたいに「これ、毒です」という、自身の能力をフルに使った薬学無双するわけですよ。


 加えて、攫われて知らない土地に連れ込まれたという設定は、死んだら異世界に転生したに似た状況でもあると個人的に思います。というか実際に読んでいて「異世界転生の亜種かな?」と感じました。


 こういった無双と転移の要素は実になろうっぽい作品だという印象を抱きましたね。




 物語としては、もちろん後宮ものらしい内容となっています。つまりは女の社会なわけですから、主人公は友好的な仲間からマスコットキャラクター的な可愛い扱いを受ける一方、敵対派閥の面々からは嫌がらせをされるという、女性の人間関係の縮図を表したかのように人物を描いています。また少女作品らしいイケメンとのラブロマンスを彷彿とさせる場面もあります。そしてこの作品にはミステリーやサスペンス的な謎解き要素があり、それこそその謎を主人公の薬知識で解決していく流れになっていきます。




 こうした「なろう系亜種」「女社会」「ラブロマンス」「ミステリー・サスペンス」といった、四つの大きな要素を一つの物語として束ねたものが『薬屋のひとりごと』という作品になるかと思います。正直これらの要素のうち一つか二つに絞り込んでも充分物語が描けそうではあります。ですが贅沢にも四つふんだんに取り入れしっかり書き分けをしているからこそ、作品内でも話がマンネリ化することなく一定の濃いテンポを維持されていて、ストーリー展開に飽きがこないのです。


 もちろん読者もそれぞれ好みはあるでしょうが、しかし多くの要素を取り込んでいるため何かしら刺さるものがあると思います。それにより面白さの程度は個人差はあるものの、なんだかんだ楽しんで読み進めてしまえる魅力が秘められているのではと感じました。



 個人的に『薬屋のひとりごと』という作品は、好みじゃなくても読めちゃうタイプの漫画だと思いますね。実際全然趣味ではない自分がある程度楽しんで読めているので。







 といった感じで今ホットな作品『薬屋のひとりごと』について語ってきましたが、言っても自分はプロモーション当時に試し読み&第1巻を読み、ついでに2巻に手を伸ばしたところで止まってしまっています。ビッグガンガン版のコミカライズは現在5巻まで刊行されているようなので、この機会に3巻以降も手を出していこうと思います。というか増税前に全巻買ってしまおう……。







 あと関係ないですけど、今年の「次にくるマンガ大賞」の第2位にランクインされた『チェンソーマン』も微妙に気になります……。







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