記憶遺産環境

2月26日


「うちお前の親いいなぁって本気で思うけど」

「……そうでもないよ。話したじゃん、あの話。あんな感じだよ」

「そうか……まあ実際その子供じゃないとわからないか」

「うちは寧ろお前の親うらやましいけど」

「え……なんで」

「なんか認識が広いじゃん。お前が学校行かないことも認めてくれるし。うちは大変だったよ。ヒステリー起こして叫ばれて……阿鼻叫喚ってこういうこというんだなって思った」

「あーそういう親が怒鳴ってる修羅場とか冷静にそんなこと考えちゃったりするよな」


「学校に行かないのを『みんなと違うから』ってだけで排除するのはおかしいと思う」


「お前は? 学校行かないことについてどう思う?」

「うーん……咄嗟に言われると思いつかないけど……大学進学が最終目的ならすごく大変になるなってことは痛感した。でも大学進学が最終目的じゃないんならそれもありかもしれないし……ごめん。うまくわからない」


「学校行かないことについてひとつあった」

「何?」

「申し訳ないなぁって」

「誰に?」

「学校きちんと行ってる皆様方に。家で何してる?って訊かれると答えられないし」

「勉強、とか」

「勉強もしてるけどさぁ……」

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