記憶遺産中学卒業直前期

2月16日


電話での会話。


「そろそろ寝るわー」

「ん」

「なんかはしゃぎすぎた。携帯とかのことで」

「あーね。じゃあ明日電話してくれるんな? 電話できなかったら二時にだるま壁画前な?」

「あー、うん」

「じゃあおやすみ」

「おやすみー」


「最近まりもっこりがリピートしてる」

「まりもっこり?」

「歌おうか? まりもっこりまりもっこりー♪」

「えww何それww」

「頭がまりもで下が人間で……もっこりしてるん」

「え……それ下品すぎじゃね?w」

「でも朝の教育テレビでやってんだよw子供たちが見てる時間帯にww」

「マジで? 北海道強えww」

「北海道行きたくなったwww」

「wwwwww」

「wwwwww」

「○○ちゃんにも教えようかな、あ、でも○○ちゃんどこがもっこりかわかんないか」

「いやでも意外とわかってるんじゃね?」

「あーね意外とね」


「お前吹奏楽部入る?」

「入んない。てかうちらの代で吹奏楽部入る子って少ないんじゃね?」

「○○ちゃんくらい?」

「○○吹奏楽入るんだっけ」

「うん、そう言ってた」

「ふーん……」


「○○って男女共学?」

「うん」


「お前、高校行ったら化粧する?」

「うちも同じこと言おうと思ってたんだけど」

「シンクロティだな」

「シンクロ」


「話少し戻っちゃうけどさ。高校デビューじゃん。外見とか化粧もだけど、性格どうにかしなきゃなって思って」

「あーね、うちも心配。口ベタだし」

「あー……お前は大丈夫じゃね? まあまあうまくやってるし」

「そんなにうまくやってないよ」


「髪型とかも気になる」

「それでいいと思うよ。似合ってるよ」

「あー……ありがと」


「彼氏欲しい?」

「うーん……成り行きかな。どっちでもいい。できなくてもいい。お前は?」

「気の合う人がいたら付き合いたいな」

「うん。うちもやっぱ欲しくないとかじゃなくてできれば欲しいかもしれない」

(眼鏡男子の話になる)

「お前こういうのある?」

「こういうのって? 男子の好みとか?」

「うん」

「うーん……弱そうなのがいいな」

「え……ハニー先輩みたいな?」

「うん、ちょっと違うけど。なんかいじめられてそうなやつ」

「ふーん……」

「そういう男子じゃないと喋れない。好きなタイプっていうか、最低条件。まず喋れないとだめだし」

「あー、それわかるかもしれない。クラスの中心系男子とは話せない」

「そうそう」


「まず彼氏できるかなーっていうか、そこまでの関係になれる男子がいるかどうかが心配」

「あー、それはわかる」


「時間が過ぎるのって速いよな」


「なんだかんだで○○もひとつの集団だったんだなーって」

「どうして?」

「普段喋らないような人でも離れるって思うと寂しい。だから、集団だったんだなーと」

 私にはこのような気持ちは無かった。つまり集団から離れているからだろうか。


「自分の好きな芸能人並べてくと、女顔ばっかだった」

「あーお前そういうの好きそうだもんな」

「うん……」

「芸能人ならな。実際は違そうだけど。その反対みたいな」

「うん。実際は違う」


「うち携帯買ってもらえることになったんさ」

「マジで? よかったじゃん」


「○○先生がいい。もう眼鏡最高」

「お前眼鏡好きだなー」


「○○中でも、中学にだって話のノリがこういうんなのは五人くらいいたわけだし。大丈夫かなーと」


「お前期待と不安の割合どのくらい?」

「期待が6で、不安が4くらいかな。でも無理やり逆転させてる。お前は?」

「7対3……いや、8対2くらいかもしれない」

「不安大きいな。まあうちもだけど。無理やり思わないとやってられないし」


「お前そういう話してると幸せそうだな」

「幸せな話しないとやってられないんだよ」

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