孤独

 まずは孤独について考えようと思う。

 私は今、精神的に孤独であると思う。物理的にも、多少そうであると考える。最近。クラスに行ってないから当然といえば当然だが、(あくまで物理的な話だ)精神的な面は学校に行く行かない関係なくとにかく私の問題だ。

 精神的な孤独とは? 人と深く関わりを持ちたくない、深いところに立ち入ってほしくない、とにかく無関心無関係を望む、そういったものだと思う。稀にはいても、あまりこういった精神的な孤独をもっている若者は今時少ないのではないかと思う。(私が特別だという意味では決してない。私は平凡な一中学生だ、そう自分にも言い聞かせなきゃ)でもとにかく私はそうなのだ。他の同級生には殆ど興味がない。ハブにされたって、悪口言われたっていいやって思ってる。三年生になってクラスに戻っても、本でも読んでひとりで過ごそうかと思っているくらい。そして私は物理的にも孤独になりつつある。私が今親しく(そしていくばかりでも楽しく)話す人といえば、数えるくらいしかいない。鳥、保健室の先輩、先生、小学校の友人数人、家族?(だいたい家族の定義って何だ? ある定義においては私に家族はいないことになる。でもこの議題はいささか疲れるものなので、余裕があるときに考える)半年ほど前の私だったら、こういった物理的な孤独を決して許さなかっただろう。それから抜け出そうと必死にもがいていたくらいだから。何かしら私に変化が起こったのだ。強がりじゃなくて私は本当に孤独でいたいのだ。

 精神的な孤独はいいものだと思う。とにかく自分が誰にも侵されない、自分、自分。他人のことを考えなくていい。(今ふと思ったんだけど、これってもしかして現実逃避の一種?)

 でもひとつだけ問題点がある、時々ひどく寂しくなることだ。村上春樹の小説(確かノルウェイの森の冒頭部分だったと思う)にも出てくる、スチュワーデスか誰かが「僕」に話しかける、「どうしたのですか?(What's the matter?)」「大丈夫です、ちょっと寂しくなっただけだから」スチュワーデスは微笑んで、「そういうこと、私にもたまにありますよ」と言って立ち去る、確かこんな感じだったと思う、いささかのディテールはおいといて。私はこの部分が大好きである。とにかくふと、寂しくなることがある。でも私はそういう場合、寂しさが去るのをじっと待つ。私は物理的に中学生でありながら、精神的に中学生ではなくならなければと思う。だってそういうことなのだ。普通の中学生でいるのは、(決して比喩的でも暗示的でも、増してや優越感なんかでは全然なくて)私にはいささかしんどい。これはある種の現実逃避なのかもしれない。でも私はそうするしかない。寂しくなるしかない。あまりにも、とは言わないけど、色々と私は違った方向へと成長しつつあるから。

 これはとても悲しいことだ。本来なら私は、友達を何人もつくって、放課後まで教室にたむろして、くだらないことで大声で笑ったり、誰かの悪口を言ったり言われたり、休日おしゃれしてたくさんの仲間とプリクラでも撮っているほうが幸せなのだ。でも私はそういうことに適した中学生ではなかった、つまりそれだけのこと。

 私はほんとうに精神的に孤独なのだ。今だって少し参っている、この文章だって誰かに見せたくてしょうがない。私は口だと、思っていることをまったく言えなかったり、全然とんちんかんなことばかり言ったりしているから。本質的なことなど何ひとつ言えたためしがない。私という人間を九割でも知っている人は、多分この世に私以外存在しない。親でさえも一割理解していてくれたら十分だと思っている。でも私はあとの九割の私を誰かに見せるわけにはいかない。見せたいけど、見せるわけにはいかない。だってそんなことされたら、見せられたほうは本当に参ってしまうだろう。多分反応に困る。私はごく普通の一般的な問題児であるからだ。でもとにかく私は孤独なのだ。どうしようもないくらいに、とても悲しい。どうすればいいのだろう。

 私はだから小説を書くことしかできない。小説を書く、という手段を使ってしか、私の内面を人に話せない。私は誰かに私の話を聞いてもらいたいと思っている、でも不可能だ。私はそんなことした経験一度もないし、これまでずっと自分の思いなんて封じ込めてきたから。だから無理。今更取り返しのつくものではないのだ、こういう種類の癖は。


 とにかく私は寂しい寂しい、どうすればいいのかわからない。意味もなく泣くこともよくあるし、七割方は毎日泣き寝入りだ。こんなに泣き虫だなんて、多分誰も知らないと思う。そうだ、本当に私は泣き虫だ。最近は勉強が手につかないくらいに悲しくて寂しくて悲しいことがふとある。でも私は孤独でなくなるのが怖い。すごく怖い。その瞬間、私の世界は広がってしまう。私はいやがおうでも人間関係の渦ティーンエイジャーの波に巻き込まれそして自分が独りよがりだったことを無理やり悟らされる。だから私は孤独でいる。

 きっとそれが一番私に合っている。寂しさという副作用さえどうにかすれば、私は孤独の中で快適に、誰の迷惑にもならず誰にも迷惑をかけられず生きていける。

 でも私はどうしようもない寂しがりなのだ。寂しいと死んでしまううさぎのように。(うさぎといえばラプラスの魔が好き。ジャック=ラビット・ハット氏も好き。初めてジャック伯爵の名前を形にした。いつかきちんとしたキャラにしたいなあ)


 ただいまの時刻三時二十二分。少し思考が混乱してきたので、勉強でもちょっとして、ソフィーの世界(もしくは聖書)でも読んで寝ようと思う。

 孤独について考えていると、学校に行きたくなくなる。ちなみに今日は行っていない。明日も行きたくない。できれば。

 今日はトリックの劇場版を見た。上田と山田のCPは素敵だと思う。本当。トリックのトリックはあまり上出来ではないけど、あの作品の良さは上田と山田。あとユーモア。

 あと新しいパジャマと服を買った。今そのパジャマを着ている。かわいいパジャマだ。2000円のつもりが1500円だった。得した。私が払ったわけじゃないけど。服はブーツに合わせる服。着るのが楽しみ。


 結局こっちが日記になりそう。でもいいや。結局私の日常なんて書くことは僅かしかない。それよりも大事なのは、理性、考えたことだ。現にだってそうじゃないか。

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