カラス

勝利だギューちゃん

第1話

「何を見ているの?」

クラスメイトの男の子が、何かを見ていた。

それが何かはわからなかった。


気になった私は、彼に訊いてみた。

すると彼は、近くの神社の鳥居を指さした。

彼の指先には、一羽のカラスがとまっていた。


「カラス・・・カラスがどうかしたの?」

カラスなんて、珍しくも何ともない。

むしろ、町を汚す、嫌われ者だ。


すると彼は、不敵な笑みを浮かべながら答えた。

「もうすぐ、この近くで誰かが死ぬよ」

それだけ言うと、彼は去っていった。


不敵とはいえ、彼が笑うところは、初めて見た。

その事が気になり、彼の発言は気にしていた。


その日の夜、近所のおばあさんが亡くなった。

昨日までとても元気で、私ともよく挨拶をした。


町のみんなから。好かれていた。


死因は心臓発作。

突然の死に、近所の人は悲しみを隠せなかった。


私は、あの彼の発言を思い出した。

【もうすぐ、誰かが死ぬよ】

その言葉が気になった。


そして、どうしてカラスを見てわかったのか・・・

(彼には、見えないものが見えるのか?)

それが、気になり、落ち着かない毎日を過ごしていた。


「ねえ、どうしてわかったの?」

私は彼に訊いてみた。

彼はしばらくの沈黙ののち、こう答えた。


「君は日本人だろ・・・」

「今更何を・・・」

「日本人なら、自分で調べなさい」

それだけ言うと、また沈黙をつらぬいた。


彼の言うことも、気になったが、私はすぐに気にならなくなった。

そして、彼自信とも、話さなくなった。


もう、彼と話す事はないだろう・・・


それから数年後、世界中で核実験が行われ始めた。

みんなは、不安に陥っていた。

私もそうだった。


そんな中、彼に再会した。

彼はまた同じように、神社の鳥居を見ていた。

その上には、大量のカラスが・・・いや、鳥がいた。


彼の言葉が、耳に届いた。

「もうすぐ、大量の死者がでるな・・・」

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カラス 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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