偶然
勝利だギューちゃん
第1話
「偶然ですね・・・」
「ええ・・・」
町が、桜色に染まった春・・・
その並木道を、歩いていた・・・
公園では、花見客でにぎわっている・・・
この辺りはとても気候がいい・・・
僕も周りは、誰もいない・・・
周りが寄り付くこともなく、周りに寄り付くこともない・・・
僕は、この瞬間が好きだ・・・
空を見上げる・・・
陽がまぶしい・・・
近くには大きな川がある・・・
全国でも有名な川だ・・・
川岸では、何人かが釣りをしている・・・
河川敷では、子供たちが野球をしている・・・
生まれてくる時は、多くのものを持っていた・・・
しかし、大きくなるにつれ、それを少しずつ手放していく・・・
そして、最後にひとつだけが残る・・・
それが、糧となり、そして・・・宝となる・・・
この町には、小高い山がある。
高台に登れば、町を一望できる。
僕は、この風景が好きだ・・・
そして、この町が好きだ・・・
誰よりも・・・
「すいません」
突然声をかけられる。
そこには、この町の高校の制服を着た女子がいた。
僕とは、別の高校だ・・・
「今そこで、学生証を拾ったんですが、あなたのですか?」
そういって、学生証を見せる。
確かに僕のだった。
「ありがとうございます」
そういって、学生証を受け取った・・・
「すいません・・・今、失礼ながら、名前を見させてもらいましいた。
すると、幼稚園の頃にいた男の子と同じ名前でしたが、
もしかして、○○幼稚園でしたか?」
確かにそうだった。でも僕は・・・
「いいえ、違いますよ・・・」
そう嘘をついた・・・
「そうですか・・・私の初恋だったんですが、偶然ですね・・・」
「ええ・・・」
彼女が、悲しそうに去っていくのが見えた・・・
偶然 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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