第11話 薔薇のお茶

 ここにManjariマンジャリという紅茶があります。

 茶葉を一つ、手に取ってみましょう。

 手のひらに載った茶葉は、5~7ミリの大きさです。

 まるで、薔薇の花が小さくなったような形をしています。

 色も黒に近く少し赤みがかっていますから、ますます小さな薔薇のようです。

 

 これは、一枚の茶葉を人が手で揉んで作った形なんです。

 つまり、茶葉一つ一つに人の手が掛かっていることになります。


 この茶葉をいくつか、ポットに入れ、お湯を注ぎます。

 すると、どんなお茶とも違う香りが漂います。

 

 どこか懐かしい、お日様に干した布団のような

 甘味もあるその香りは、味への期待を高めてくれます。


 深い味、幾重にも重なった絹を思わせる、その甘い味は、豊かで、そして、嫌味のない余韻を残します。

 この余韻が長く続くのもManjariの特徴です。


 大切な方がいらっしゃった時にだけお出しする、特別なお茶です。

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