交差点

勝利だギューちゃん

第1話

道を歩いていた・・・

ただ、まっすぐな道を・・・

どこまで続くかわからない・・・

ただ、歩き続けるしかなかった・・・

それしか、僕に選択肢はなかった・・・


どのくらい歩いたのかは、もう分からない・・・

疲れて休もうとした時、分かれ道に出た。

右と左に分かれていた・・・

「どちらかに、進めという、事か・・」


ただ分かれているだけで、全く同じだった。

ただ違うのは、右の道には「2」と、

左の道には、「3」とだけ、標識が立てられていた。


僕は「2」と書かれた、右の道を選んだ。


またしばらく、まっすぐな道が続く・・・

僕はまた、歩き続けた・・・


しばらく歩くと、テーブルがあり、そこのはふたつの物が置いてあった。

ひとつは2次元の美少女キャラを立体化した、美少女フィギュア・・・

もう、ひとつは実在する3次元美少女アイドルの、ブロマイド・・・

「どちらか、一つを選べ」

そう書かれていた。


僕は、2次元の美少女フィギュアを持ち、歩き続けた。

しばらく歩き続けると、

(本当にそれでいいか?)と、声がした。


僕は、「ああ、構わない」と答えた・・・


それっきり、声はしなくなった・・・


しばらく進むと、見た事のある人影があった・・・

いや、人影というのは、適切でないだろう・・・


なぜならそこにいるのは、本来なら存在しないものだ・・・

今、僕が手に持っている美少女フィギュアの、人物・・・

彼女が、そこにいた。


僕は誰かのいたずらと思った。ドッキリだと思った。


「やあ、初めまして」

「うん・・・」

「私の事は、知ってるよね」

「もちろん」

「でも、私は君の事を何もしらない・・・」

「・・・確かに・・・」

「だから教えて・・・」

「どうして・・・」

「だって、私と君は、夫婦になるんだもの。君だけ私を知ってるのは不公平でしょ・・・」

その言葉に、僕は言葉を失った。


「ちょっと待って下さい。2次元と3次元が結婚出来るはずないでしょ」

彼女は笑った・・・

「じぁあどうして、この道を選んだの?」

言われてみれば、確かに僕は自分の意思でこの道を選んだ・・・


「君は、3次元の女性が嫌になった?違う?」

確かにそうだ・・・

リアルな3次元の女性には、痛い目にあわされてきた。

正直、辛い・・・

失恋なんて、かわいいものではなかった。


でも、2次元には走れない。

同性には、興味がない・・・


僕は答えに迷った・・・

もしかしたら、無意識のうちに、2次元を愛していたのかもしれない・・・


彼女は手を差し出してきた。

「行こう、ふたりだけの世界へ・・・」

僕は、その手を握った・・・


今が幸せかどうかは、分からない・・・

でも、それでいいのかもしれない・・・


ゆっくりと、考えよう。

この世界では、時間だけはある・・・

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交差点 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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