それでは出発だ

高峯紅亜

それでは出発だ


「では作戦会議を始める」


グループのリーダー、高嶺たかねが言った。

はい、と返事をした恭也きょうやが地図をサッと広げる。

周りは真っ暗なため、懐中電灯で地図を照らす。


「この地図の通り、ここから少し先に宝箱がある」


高嶺が指した指の先には<フェリーの山>と記されており、刺々しい山が描かれていた。


「でも高嶺さん、この道を進むには危険すぎませんか」


恭也の隣に座る輝男てるおは少し焦り気味だった。


「大丈夫だ、ここはしっかり俺が作戦を立ててある」


「いや、しかしこの<ルエーゴ・ストリート>には毒蛇だらけです」


眼鏡の縁を光らせながら情報収集役の奏汰が言う。

その向かいに座る智陽ちはるはズズズッっと音をたてながら残り少ないコーラを飲んでいた。

五人で地図の置いてある机を囲む。高嶺が手を突きながら言った。


「確かにそうだな、他に良い手段はないか」


「あーそれならこの <グランド・トンネル> 潜ったほうが一番安全ですよ」


智陽がストローを振り回しながら得意気に言う。

んーと高嶺が唸りながら腕を組む。

ただのトンネルですし、と更に念を押す智陽。遠回りですけどね、と付け加えた。


「じゃあ、ここは安全第一ということでトンネルを潜ってフェリーの山へ向かおう」


高嶺は皆に向かって言った。皆もはい、と続ける。


「それでは出発だ」


高嶺たちが荷物を手にとった瞬間だった。


カチッ


突然の光の眩しさに目を細める五人。





「恭ちゃん、そんなことしてないで洗濯物手伝ってちょうだい」






そこには恭也のお母さんが洗濯カゴを片手に立っていた。

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それでは出発だ 高峯紅亜 @__miuu0521__

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