第39話ツクダレポート②

 4日目


 今日も清宏様の用意してくださった朝食を食べている。

 流石に同じ物ばかりで飽きて来たが、飽きるという感情が新鮮に感じ、特に不満は無い。


 「そうだ、今日は特別にこいつもやろう」


 清宏様は、容器に何か硬い物を入れた。

 自分はそれを体内に取り込んで激しく震えた。


 (気が高まるぅぅぅ、溢れるぅぅぅ!!

 何ぞこれ!めちゃウマなんですけど!?)


 自分が震えていると、清宏様が笑った。


 「どうだ魔石の味は?お前が仕事を頑張ってくれたら、報酬として食わせてやる」


 (そんなん言われたら頑張るしかないじゃん!自分、魔石のためなら何でもしますわ!)


 清宏様の言葉を聞いてさらに激しく震えると、自分の身体の一部が清宏様に飛び散った。


 (あ、すんません・・・)


 清宏様は怒りもせずに身体に着いた物を払い落とし、自分の身体の一部が着いていた箇所を見て怪しく笑った。


 「くくく・・・良いぞ、その調子だ!

 これなら、近日中には実験が出来るぞ!!」


 (お、おう・・・喜んでもらえて嬉しいっすわ)


 清宏様は高らかに笑い、自分を撫でて部屋を出て行った。





 5日目


 自分が召喚されて5日目、今日はいつもとは違い部屋の外に出させていただいた。

 初日以来だが、その時には感じられなかった多くの情報がひしめいているのが解り、少しばかり興奮している。


 「どうだ久しぶりに部屋を出た感想は・・・楽しいか?」


 (スゲーっす!マジぱないっすわ!!)


 自分が震えているのを見て、清宏様は笑っている。

 部屋の外には、清宏様以外にも多くの気配を感じられる。

 リリス様、アルトリウス様、アンネロッテ様、アリー様は解るが、それ以外の方々の事はまだ誰が誰だか解らない。


 「ダンナ・・・なんか最初よりデカくね?」


 「だな・・・3倍近いデカさになってるな」


 最初に近づいて来たのは、声と気配からして男性のようだ。


 「良く食って良く育つのは良い事じゃないか。

 そう言えば、お前達はまだこいつに触ってないだろ?

 触ってみろよ、癖になるぞ」


 「マジか・・・肥えすぎだろ」


 (あらやだ、失礼しちゃうわ!)


 2人が自分に近づいて手を伸ばす。

 だが、若干尻込みしているようだ・・・。

 自分は2人が身体に触れる寸前で身体を震わせた。


 「おわっ!いきなり暴れんなよ!?」


 「お前達が肥えたとか言ったから怒ってんじゃないのか?」


 (おぉ・・・流石です清宏様!何故解るんすか!?)


 「いや、だって普通のよりデカイんだから仕方ないだろ?」


 「普通、ここまでデカくならねーって・・・」


 「何だよ・・・まさか、ローエン様とグレン様ともあろうお方がビビってらっしゃる!?

 まさか、そんな事は無いよな?」


 (ヘイヘイ、人間ビビってるー!!)


 少々調子に乗っているとは思うが、どうせ相手には自分の考えは解らないのだ・・・好きなように考えさせて貰おう。

 感情が芽生えてからと言うもの、何もかもが楽しくて仕方ない。


 「ビビってねーし!平気だし!なぁグレン!?」


 「そうだよなローエン!?俺達がビビってるとかあり得ねーし!!」


 2人は清宏様の発言にムキになって自分を弄って来た・・・正直気持ちよくない。

 だが、2人は無言で自分を触りまくってくる。


 「どうしたんだよ黙って・・・」


 (そろそろやめてくれないっすかね?)


 自分は身体を動かして逃げようとしたが、2人が着いてくる・・・。


 「これヤバイな・・・俺、この感触好きだわ」


 「お前もか・・・何だろうな、この触り心地は何かに似てる気がする。

 おーいウィル、お前も触ってみろよ!」


 2人の触り方がいやらしい・・・。

 身体に不思議な感覚が走り、無意識のうちに震えてしまう。


 (悔しい、でも感じちゃう!!)


 自分は2人の手つきに冷静さを欠いてしまった・・・。

 すると、自分を弄る手がさらに増えた。


 「確かに、良い触り心地ですの・・・清宏さん、僕は今から待ち遠しいですよ!!」


 2人に呼ばれてやって来た男性の手つきは、2人を上回る気持ち良さだった・・・。


 (もうらめえぇぇぇぇぇぇ!!)


 自分は全身の力が緩み、それ以降の記憶が無い・・・。

 清宏様が何かを話しかけていたようだが、自分はそのまま意識を失った・・・。




 6日目


 自分はハッと目を覚ました・・・あれからずっと意識を失っていたらしい。

 清宏様が連れて来てくれたのか、今は自分の部屋にいるようだ。


 「おはようツクダ、昨日は散々だったな・・・朝飯の後にお前の仕上がり具合を確認して、大丈夫そうなら今日実験をする。

 念の為、今日も魔石をやろう・・・一昨日魔石を食ったら効果があったし、確認の為に食べてくれ」


 (ガッテンでさぁ!魔石の為なら魂売っても良いですぜ!!)


 清宏様は、自分が震えているのを見て満足そうに笑っている。

 本当に別け隔てなく接してくれる。

 自分は素早く朝食を平らげ、清宏様に確認してもらう。

 清宏様の手つきは優しく撫でるように触ってくれるため、心地良い。


 「ふむ、仕上がったな・・・広間に行こうか」


 自分は清宏様に連れられて広間に向かった。

 すると、広間にはすでに多くの気配が集まっていた。


 「皆、ツクダが特性を得る事が出来た。

 今から実験を行いたい・・・誰か立候補する者は居ないか?」


 「ほう、早かったの?」


 「あぁ、魔石を食わせたら覚えが良かったんだよ」


 「まぁ、特性を得られたのは良い事じゃ・・・じゃが、あまり派手にはやるなよ?」


 リリス様は自分を撫でて笑いかけてくれた。

 まだ若干抵抗はあるようだが、それでもこうして優しく接してくれる。


 (やりたい人居るんすかね・・・)


 自分は半ば諦めていたが、1人手を挙げる気配を感じた。


 「はいはーい!私がやりまーす!!」


 手を挙げたのは女性のようだ・・・自分はまだまともに会った事のない人物のようだ。


 「レティか・・・まぁ、良いだろう。

 でも、お前にやっても面白くなさそうなんだよなあ・・・」


 「何を言ってるんですかご主人様!そう言ったのは私の役目でしょう!?」


 清宏様は乗り気ではないようだが、レティと呼ばれた女性は引かない。

 

 「ツクダ、今からレティの身体にまとわりついて、俺が止めるまで全身を満遍なく這い回ってくれ。

 ただし、服は溶かすなよ?妙な特性を得ても困るからな」


 (了解っす!見ててくだせぇ!!)


 自分は素早くレティ様の身体を這いずり回った。

 レティ様が悶え始める・・・。


 「んっ・・・あぁっ!やっ・・・そんなとこまで・・・!?」


 「ふむ・・・エロいな!!」


 「あぁ・・・正直、レティなのが残念だ」


 清宏様とローエン様の呟きが聞こえてくる。

 正直、自分もなんだかレティ様の反応に違和感を感じている。

 

 (何だろう、この人にやっても全然楽しくないんだけど・・・)


 「あれだな・・・レティには羞恥心が無いからか、ただエロいだけで興奮しないな」


 (それだ!それですよ!!)


 自分は、グレン様の言葉を聞いて納得した。


 「ツクダ、もう良いぞ・・・」


 「えっ・・・もう終わりなんですか!?」


 「だって、お前の悶える姿見ても楽しく無いし・・・それより、肌はどんな感じだ?」


 清宏様に聞かれ、レティ様は身体を確認しているようだ。


 「おっ・・・おおっ!?すっごいスベスベです!!」


 「ふむ、成功か・・・よし、次に行こうか?」


 『えっ!?』


 清宏様の発言を聞いた女性陣が身構えるのを感じた。


 (うわぁ・・・流石に凹むっすわ)


 正直、あまりにもあからさまな反応には傷ついてしまう・・・。


 「ツクダ、あそこで逃げようとしているリリにまとわりつけ!!」


 (ガッテン!口直しと憂さ晴らしをさせていただきます!!)


 清宏様に指示され、自分は気配を辿りながら逃げ回るリリ様にまとわり付く。

 リリ様はレティ様と違って恥じらいがあり、自分もやる気になってしまう。


 (これです!この反応が欲しかったんすよ!!)


 「ちょっ・・・待って!そんな所触らないでよ・・・!?

 清宏、よくも私を売ってくれたわね!あんた覚えてなさいよ!?あっ・・・やめて・・・!」


 (良いではないか、良いではないか!?)


 正直、凄く楽しい・・・。

 

 「うん、これが見たかったんだよ!な、ウィル!?

 ツクダ、その調子でシスにもやってやれ!!」


 (待ってたぜぇ!!この瞬間をよぉ!!)


 自分は、リリ様が動かなくなった後、シス様と他のサキュバス様達でも試させて貰い、明日から仕事に就く許可をいただいた。

 自我が芽生えた事により、一喜一憂されることもあるが、なかなかどうして悪くない・・・明日からの仕事が楽しみだ。




 



 


 

 

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