ロリ魔王に召喚された俺は、トラップで魔王城への侵入者を排除します。

コロ

プロローグ

 「なぜじゃ・・・妾がいったい何をしたと言うのじゃ!なぜ妾がこんな目に遭わねばならぬのじゃ!?」


 飾り気が無く、ただただ広いだけの部屋の奥、1人の幼い少女が身体に不釣り合いな程に大きな椅子の上で頭を抱えて悶えている。

 頭を抱えている少女のこめかみには青筋が浮き上がり、怒り狂っているのが見て取れる。


 「あーっ!また外れおった!?くそっ・・・なぜ彼奴らは引っかからんのじゃ!?」


 少女の目の前には、鏡の様に薄く滑らかに削られた水晶盤があり、その水晶盤には複数の男達が映し出されている。

 少女はそこに映る男達の行動を観ては金切り声を上げ顔を真っ赤にし、椅子の上で地団駄を踏んでいる。


 『けっ!シケてやがんな・・・ろくなもんが無ぇじゃねぇか!』


 『そりゃあ、何度も探索に来てるからな。目ぼしい物は取り尽くしたって事だろ?

 まぁ、こんなんでも小遣い稼ぎにはなるだろ・・・』


 水晶盤に映る男達は薄暗い部屋の中を手探りで隅々まで調べつつ、売れそうな物を見つけては袋に詰めていく。


 『それにしても毎度思うんだが、この城のトラップって雑じゃね?こんなバレバレなもん、ガキでも引っかからないだろ?』


 『ま、そのおかげで俺たちは楽に稼げるんだけどな!

  だが、この城もそろそろ終わりだろうな・・・最近は特にシケて来たからな。

  また次を見つけねぇとな・・・』


 男達は物色を終え、部屋を後にする。

 水晶盤でその様子を見ていた少女は、小さな手から血が滴る程に強く拳を握りしめ、小刻みに震えている。


 「貴様等の・・・貴様等の所為ではないか!!妾は・・・妾はただ静かに暮らしたかっただけだと言うのに・・・。

  父上、申し訳ございませぬ・・・妾も、この城ももう長くはないようです・・・」


 少女は椅子の上で膝を抱え、涙を流す。

 だが少女はすぐさま顔を上げ、決意の篭った表情で水晶盤に目を向けた。

 今まで頭を抱えて怒り狂るい、俯き涙を流し、前髪で隠れていた少女の顔が顕になる。

 その少女の顔立ちは、まだ幼いながらも将来美しく成長するであろう事が容易に想像出来る程に整っていた。

 だが、少女の額には普通の人間には無い物が有った・・・赤い楕円形の宝石だ。

 その宝石は、少女の感情に呼応するかのようにより強く、妖しい光を放っている。

 

 「いや、まだじゃ・・・まだ諦めてはならぬ!父上に救っていただいたこの命、この城を易々と諦めてなるものか!!

 父上、今こそ貴方の遺して下さった魔召石使わせていただきます!!」


 少女は服の胸元からネックレスを取り出し、目の前に掲げる。

 そのネックレスには、少女の額にあるものよりもひと回り大きな宝石がはめ込まれていた。

  

 

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