星彩エンプティス

零-コボレ-

乾いた空気、さらさらと零れ落ちて形を刹那たりとも留めない砂…


「ユーキ」

美しい銀髪を持つ少女が言葉を発する。

美しい銀髪、そう彼女のことを称したが、残念ながらその美しさに彼女は気づいていないのか、左はショートに切っているが、右は方より少し長いくらいに伸びているといったアンバランス具合で、しかも切り方が雑、と言った、髪を扱う職に就くものが目の色を変えて説教するような有様だった。

良いとは言えない足場に眉をひそめ――いや、もしかすると彼女はいつもこんな風なのかもしれない――歩く彼女の横には、これまた目つきの悪い、少女と同じくらいの年齢の少年がいた。

少女の、刺すような青い月光に照らされた雪のような銀とは対照的な、何もかも吸い込んでしまいそうな――光と云う人類の文明が存在しない夜闇の様な、長い黒の髪を後ろで縛っていた。

「なん…ですか」

言葉を発することに慣れていないような、嫌いなようなトーンで彼は彼女に答えた。

彼女よりこのような場を歩くことに慣れていないようだが、彼女よりかは疲れ知らずのようで、ペースを崩さずに黙々と歩いている。

「かなり歩いたが、疲れてないのか?」

「…別に…特に…」

あまり会話をしようとしない彼に少しあきれたように、彼女ははぁ、とため息をつく。

じりじり、とかまどの中に入ってしまったかのような気持ちを、地上の命持つものに味合わせた残酷な熱の塊の星は沈もうとしている。

その残りの熱気を切るように、冷えた二人は歩いていく。

「…もうすぐで町か、、、明かりが見えてきた」

「…そうですか・・・もう少し頑張りましょうか」







――これは、ひねくれたとあるニンゲン二人の物語である――

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