ホムンクルスの彼は学校で更に強くなってしまう様です??

ヒロくん

第壱話 プロローグ 自己紹介

春と夏が溶け合う、初夏の蒼穹

陽は天高く校舎を照らし、気持ちいい風が頰をくすぐる。そんな日常の朝、彼は不機嫌そうな顔をしながら自己紹介を始めた。


「転校生の結城紫です。この学校に来る前は異界[アリスガーデン]で異形の怪物と戦っていた、成功例のホムンクルスです。俺の力を強くする為にここに来ました。よろしくです。」


転校生を待ち望んでいたクラスの全員は彼の中性的な顔立ちと異質な白髪、純白で柔らかそうな肌その存在そのものが異質であり、一言で表わすならば、


「神さま………」


ある生徒がそう反応する、そして周囲も同じ反応をしていた。此処にいる生徒は全員ホムンクルスだ。だが、失敗作である。


普通の人からしたら彼らもかなり異質に感じるものだが彼は次元が違っていた。彼と比べればまるで自分が石ころのように小さな存在だと感じる。


ある生徒がおずおずと手を挙げた。


「あ、あの、なんで成功例の貴方が失敗作の戦力向上の為に作られた第1神影学校に転校してきたんですか?」


通常ならば勇逸の成功例ホムンクルスの紫がこんな所に来るのはありえない事だった。紫自身学校に通うなんて思ってもいなかった。紫がなぜ、学校に行く事になったのかその理由は数日前にさかのぼる。





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