5分が終わる。

@oragiru

第1話

あと五分。


僕の命はもう終わる


おもえば退屈な人生だったかもしれない。


生まれてすぐに、施設に送られていみんな同じものを食べさせられて、みんな同じ服


を着て、感情なんて知らないで育った。


そして、施設が決めた職場に送られ、出番がくるのをずっと待ち続ける日々。


雨の日も、雪の日も、台風が来た時もあったなぁ。


僕はずっと待ち続けた。その時を、、そして遂に来たんだ。その時が。


待ち望んだその日が。嬉しいのか、悲しいのか、僕にはわからなかった。


ただ一つ、『終わる』ということは分かった。ぼくは終わるのだ。


蓋が開いた。差し込む光が妙に清々しく思えた。そしてぼくは箸ですくわれ、僕を買


った彼をみた。僕を選んでくれた恩人。彼は箸をつかい、僕を啜った。


僕のカップ麺の人生はここで終わった。

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