残照ザクレプション
sin
プロローグ
第0話 残照
「ぐ……う……」
どうして、こうなってしまったんだ……。裕也は爛れた自分の足と、迫り来る火球を見ながら、心の中で反芻する。
異世界に転生した訳では無い。確かに、そこは幼い頃から慣れ親しんだ町並み。その筈なのに、全てを飲み込むように辺り一面を埋め尽くす炎の海。
「ほれほれ、まだ三分しか経ってないぞ?さっさと立て」
目の前に立つ青年に促され、裕也はふらふらと立ち上がる。身体中を走る激痛に耐えながら。
「お前……なんでこんなことするんだよ……」
それは、その状況を作り出した張本人。目の前に佇む『炎』を操る青年に向けたもので。
しかしその真意は、その奥にいる幼馴染のための時間稼ぎにしか過ぎず。裕也は既にその状況が絶望的だということを、自分が助かる道が無いということを、はっきりと理解していた。
――平凡でありきたりな日々。それは、とある日を境に彼方へと過ぎ去っていく。
かけがえのなかった日々は彼らを置き去りに。正体不明の、謎の『能力』を残して――。
日常は、夕焼けの残照のように儚く消えていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます