1章

1話

* * * * *


「はぁ!」


「甘い!」


「くっ・・・」


剣同士がぶつかり合う。

俺は目の前にいる女性に剣を振りかざし勢いよく振り下ろした。

しかし、俺の剣をいとも簡単に剣で受け止める。


その次の瞬間、女性の鋭い殺気に負け、膝をついてしまう。


「はい、今日の修行も終わり。お疲れ様、導」


「ん、ありがとう・・・師匠」


差し出された飲み物を受け取って、一気飲みする。

炎天下の中での修行後はやはり水が美味しい。


俺の名前は鳳導(おおとり みちびき)、17歳。

今日も剣の修行をしていた。

女性の名は、秋月千歳(あきづき ちとせ)。俺の5つ上で、22歳だ。

そして、俺の師匠でもある。


俺たちの国では、剣や弓といった武器を普段から使用するのが当たり前の世界。

いつ魔獣や悪魔が襲ってくるかわからない、そんな中で俺たちは生きている。


もちろん、何処にでも現れるわけではない。

安全区域というものが当然のように存在する。が、18歳になると同時に魔獣狩りに外に出なければならない。

基本的に男はそうだ。女は実力のある者、もしくは志願者だけだ。


そのため、男女関係なく物心ついた頃から武器を持ち、その戦い方を身につける。

外に出れば最後、当然のように死んでしまう者もいる。

もちろん夜には自分の家に戻れるのだが、早朝から夜までは一日中、魔獣狩りの任務に出ているため、命を落とす者の数のほうが圧倒的に多かった。


魔獣や悪魔が、この国からいなくならない限り、俺たちは自由に羽を飛ばすことはないだろう。


俺は物心ついた時には、両親が居なかったため、師匠が時々施設に来ては俺の面倒を見てくれたりもした。もちろん、面倒とは言っても今と変わらず剣の修行だけど。


14歳までは孤児院のような施設に入れたため、そこで俺は暮らしていた。

しかし、15歳になると一人前と見なされ、施設を追い出されてしまう。

そんなわけで俺は、2年前から一人暮らしを始めている。


本当は師匠と暮らしても構わないのだが、それが出来ないのにはワケがある。

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