たましいと記憶の旅

古都旅人

序章 魔王と魔女の章

第1話 魔王と魔女の戦い

 魔王城の最深部、薄暗く、然程さほど広くない部屋。その場に居るのは、魔女が一人、修道女が一人、魔王が一人、サキュバスが二人、そして紫の大剣を抱えた騎士が一人。空気が乾いていた。埃と粉塵ふんじんが舞っている。激戦を物語っていた。そこがすべての逢着点ほうちゃくてんだった。立ち向かう六人には各々に冒険があった。各々に思惑があった。各々に想いがあった。これが、最後であった。これで終りであった。そう思いたかった。そういうつもりで、そこに立っていた。

 魔王は魔女を憎しみの気持ちで見上げていた。魔女も同じく憎しみの感情で魔王を見下ろしていた。年の今宵こよい、全てが終わるのだ。だからここまで来たのだ。

 そう、先ずは氷の中、氷になる前の魔女の記憶だ。これは魂と記憶の旅なのだ。

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