これからも、いつまでも・・・

勝利だギューちゃん

第1話

彼女が旅立った。

クラスメイトの女の子。

恋人ではなかったが、とても仲がよかった。

優しくしてくれた。

そして、天真爛漫だった・・・


彼女は闇の世界にいた僕に、手を差し伸べてくれた。

そして僕を、陽のあたる場所へと、導いてくれた・・・


彼女が旅立って初めて気が付いた・・・

僕が彼女に抱いていたのは、恋愛感情ではなかったかと・・・

しかし、もう遅い・・・


僕は、心の支えを失った・・・


彼女が旅立っから、僕は引きこもるようになった。

家族とら顔を合わさず、自室に閉じこもって、ぼんやりとしていた。

魂の抜けた、ぬけがらのようだったと、後日家族に聞かされた。


彼女が無くなる。少し前に、僕は彼女に手紙を出した。

携帯のメールではなく、手書きのメールだ・・・

彼女は、読んでくれたろうか・・・


その日も僕は、部屋の中でボーっとしていた。

特に何もすることはしなかった・・・

勉強はもちろん、パソコンもいじらなかった・・・


「何をしているの・・・」

どこからともなく、声が聞えてきた・・・

空耳と思い、気にもとめなかった・・・


「ねえ、いつまでも何をしているの・・・」

その声が、また聞こえてきた・・・


幾度となく聞えてくる。

僕は横になり、目を閉じた。

すぐに、深い眠りへと、落ちて行った・・・


「ねえ、何をしているの・・・」

気が付いたら、目の前の彼女がいた・・・


「あっ・・・」

驚いて、声が出なかった・・・

「やあ、元気?久しぶりだね」

「君は・・・どうして・・・」

「今はいいじゃい・・・それよりも何をしているの?」

「何って・・・」

「私の死を悲しんでくれてるの?」

「・・・うん・・・」

「ありがとう。でも、そんなんじゃ、私は喜ばないよ」

彼女の答えに、僕は茫然とした・・・


「気になるよね。私が君の前に現われた理由・・・」

「うん」

「まずひとつめは、君が私にくれた手紙への返事」

「読んでくれたんだ・・・」

「もちろん。なら言うね。返事はOKよ」

「えっ?」

「私は、君の彼女になります。よろしくお願いします。」

「・・・えっ・・・」

以外な答えに、僕は目を白黒させた・・・


「もうひとつは、誤解を解くため」

「誤解?」

「君は、闇の中にいた自分を、私が手を差し伸べてくれたおかげと書いていたけど・・・」

「うん」

「それは違う。それは君が選んだからだよ」

「えっ」

「あの時、君は私の手を振り払うこともできた。でも、君は私の手を掴んだ」

「うん」

「それは、君が『自分を変えたい』と思ったから、私の手を掴んだんだよ」

「どういうこと?」

「私はきっかけを与えたにすぎない。後は全部君の力なんだよ。」


「いい、何でもそうだけど、生きているからには、辛いことがあるわ。

そのためには、誰かの支えが必要なの・・・

その支えがあるから、生きていけるんだよ・・・」

「・・・そうだけど・・・」

「・・・って、私に言われたくないか・・・ハハ・・・」

「・・・さん・・・」

「私はもう、手を差し伸べる事は出来ない。」

「・・・さん・・・」

「でも、大丈夫。私は君の心の中にいるから・・・

君は私の、大切な彼氏だから・・・」

「・・・さん・・・」

「じゃあ、私はこれで・・・早く、元気になってね」

そういうと、彼女は消えた・・・


気が付くと、僕は目を覚ました。

辺りはすっかり、暗くなっていた。

(また、君に助けられたね・・・)


これからは、僕は強く生きて行こう。

彼女の彼氏として・・・


そして、いつか再会した時に、胸をはって会うために・・・

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これからも、いつまでも・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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