それは偶然か必然か
カゲトモ
1ページ
「いやぁ、でも本当に良かった、まだ開いていて。もしかしたらお盆休みに入ったのかと思っていたから」
「すみません、毎年休みを頂いているから」
バーで盆暮れ正月の休みがあるのは珍しいのかもしれないけど、修行していたマスターの所でも休みだったし、第一近くにあるビジネス街はこの時期休みの所が多い。開けていたって儲けが出ないのなら閉めていた方が良い。
「いやいや、休みが少なくて心配するくらいだよ。俺としてはもっと休んでもいいって思うくらいだけどね。花菱君は働きすぎだよ」
なんて畳屋の田所さんが笑って言う。田所さんの所は既に盆休みに入っているらしい。
いやしかし嬉しい事を言ってくれるね。もちろんダラダラ休みたいって気持ちもあるけど、でも俺はこの仕事が好きだから。
「そんなこと言って。彼女の一人くらいいるでしょ?」
一人くらいってなんだ、二人どころか誰もいねぇよ。
「え、そうなの? 花菱君イケメンなのにもったいない」
もったいないって。そんな良い顔してないでしょうよ。
「分かった、何か理由があって付き合ってないんだ。この女の子泣かせ~」
「もう冗談ばっかり」
第一俺は女の子の泣き顔には弱いんだ。めっきりね。
「意外だなぁ。でもまだ若いしね、仕事が面白い歳か」
「それももちろんありますけれど、あんまり結婚とか考えていなくて。ダメですね、一人でいた時間が長いと面倒になってしまって」
「えーもったいない」
ちょっとそれどういう意味のもったいないよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます