27.面白いわけがない
瞳は映画が好きだ。
今日もテレビの前に陣取って洋画劇場を見る。
映画館に滅多に行かない瞳の楽しみだ。
「あ、この映画か。前、夜中に見て面白かったやつだ」
そう言って、千也は瞳の隣に座った。
「これさ、主人公の彼女がヒロインなんだけど、誘拐されちゃうんだよね。で、主人公は相棒と必死になってヒロインを探すんだけど、実はその相棒がヒロインを誘拐した敵の一味で、主人公は敵の罠にかかって殺されかけるんだ。だけどそこで相棒が改心して身代わりになってくれて、主人公は彼女を助け出すことが出来てハッピーエンド。あ、敵は主人公が昔関わった事件の真犯人でオープニングに伏線が張ってあるから、そうここ、このシーンだ。よく覚えといて、重要だから。そうそう、最初の上司の台詞も実はキーポイントだから聞き逃さないように」
二時間弱の映画は千也の言ったとおりの展開だった。
「な、面白かったろ」
面白いわけがない。
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