2カ所目 鎖骨

鎖骨。

胸周りにある、人の中でも目立つ骨の一つ。

今日の性感帯は鎖骨周辺か・・・。


ただ、鎖骨を触らせてくれ、なんて頓狂な提案をされることなど有り得ない。

だとすれば、大きく気にする必要は・・・。


「・・・ねぇ、郁乃さん」

「・・・なっ・・・」


休憩中、私は同僚である一人の女性に話しかけられた。

今、一番関わりたくない人間・・・。こいつは・・・。

マッサージマニアの樅木もみのき

気紛れで人にマッサージをしたがる、今日における最難関人物!


「・・・ヤらせて」

「・・・い、いや、結構だ!最近は随分と体の調子もいいのでな・・・」

「そんなのいいから、ヤらせて・・・」

「いや、普通マッサージとは体のコリをほぐすものではないのか!?」


そんなのいいから、で済むものではなかろうに!


「イイでしょ・・・?減るものじゃないし・・・」

「・・・ち、ちなみに、どこをしてくれるのだ・・・?」


そうだ、箇所によっては何の問題もない。箇所によっては・・・。


「鎖骨」

何故なにゆえだ!?」


何故、鎖骨なのだ!?普通、肩とかだろう!狙ってやってるのか!?


「イイじゃない、鎖骨周りっていうのは、女性のアピールポイントでもあるんだから・・・。綺麗に見えるマッサージをしてあげる」

「・・・い、いや、気持ちはありがたいのだが・・・。今日は遠慮願いたいのだが・・・」

「イっくよ~」

「ひゃんっ!!」


ひ、人の話を・・・。

樅木は話を聞かず、急に私の鎖骨周りの部分に指を当ててきた。


「気持ちいぃでしょ~?」

「あ、あぁ・・・」


違う意味で、だが・・・。

樅木は慣れた手つきで、私の鎖骨周辺敏感な部分を、揉む、揉む、揉む!


「んあっ・・・!」


さ、流石、マッサージマニアの樅木・・・。その手つきは、数々の男性を満足させてきたのだろう・・・。


「ちょ、先っぽは・・・。先っぽはかんべ・・・んっ・・・」

「・・・これが効くんだって」

「ふぐっ・・・」


樅木は鎖骨周辺ではなく、鎖骨そのものをこりこりと人差し指中指2本を使って何度もこする。ほ、本当に、これあってるのか・・・?


-----------


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

「そんなに疲れないでよ・・・」

「す、すまない・・・」


手さばきが、テクニシャン過ぎて・・・。


「・・・あれ?何か、鎖骨周りが異常につやつやしてない?」

「こ、効果が、あったということだろう・・・?」

「妙にエロく見える」

「・・・き、気のせいだ・・・」


必要以上にかいた汗のせいで、鎖骨周辺が煌いている。少し訝しがられたが、今日もまた、何とか耐えきった・・・。


《つづく》

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