第19話 遥か血の堕し子

 俺は、死の淵からウルティオの絶理によって蘇った。

 そしてまず初めに聞かされたのはこの声だった。

「この姿で会うのは久しぶりだなあ? サイガァ! よろしくやってたかァ?」

 この金髪碧眼の彼女は、最後の大魔法使い、アレイスター・クロウリー。死魂師であったらしい父がこの世界に来て初めて死者蘇生して、使い魔的ポジションにおいてしまった大物だ。彼女は父の死にあたって、俺と無理やり契約を交わし、未だに生きながらえている。なのでこいつはストラージャではなくただの死者なのだが、ストラージャ並に強いのでそう思ってくれても構わない。

 俺がずっと伏せていた切り札その一である。

「そうか、お前はキリストが大の嫌いだったな」

 おそらくだが、キリストを毛嫌いしていた彼女は先程のウルティオの絶理によって祝福されたことに身の毛がよだち、勝手に正体を明かしてしまったのだろう。

 そう、彼女はずっとヘリオガバルスのふりをしていたのだ。

 いや、その表現だと語弊がある。彼女は俺が纏臨魔法を使う振りをするのにあわせて、融合魔法を用い、その体をヘリオガバルスに委ねていたのだ。ちなみに融合魔法とは、自身の体をストラージャに預けて操縦させる魔法である。

 だから、さっきまでここにいたヘリオガバルスはアレイスターの演技ではなくヘリオガバルスとしてここにいた、ということになる。

「ああ、そーだよ! くそ。で、今日の死にたがりのクソッタレカマ野郎はあいつだな?」

 まあ、そういうわけらしい。そして、なぜ彼女が切り札かといえば、敵の情報を収集した上で、アレイスターに切り替わり敵の意表を付けるためなのだが。

「ああ」

 彼女はそれを理解してかしていなくてか、息を吐くように大魔法を解き放った。

「おら死ね、あく死ね、直ぐに死ね!」

 荒れ狂う刃のような旋風が連続して発生。敵の下へと瞬時に飛んでいく。そして休むことなく炎、氷、土の魔法がそれぞれ続く。

 常為らざる神秘が、まるで湯水のごとくクリームヒルトへと浴びせられる。本来であればその一発一発が敵を屠るに足る威力を持つ大魔法達の、暴雨が如き猛攻。

「なぜ突然ヘリオガバルスが別の人物にすり替わっているのかは謎だが、魔術は通用しないと先程示してみせたはずなのだがな? 思想体現、類型百十一――ウェーバーの脱魔術」

 クリームヒルトは無感動にそうこぼす。

 だが、そんな小手先の能力は彼女には通用しない。

「あん? だれが魔術だっつたよーばーか! 俺様は天下の大魔法使いアレイスター・クロウリー様だぞ。称えろ、ボケカスが!」

 そう、彼女は最後の魔法使い。故に、近代の魔道師とは比べ物にならぬ程の破壊を彼女は生む。その神秘は、魔術の枠には収まらぬ超常。

「アレイスター・クロウリー。それはいい名を聞いた。汝の女性因子も丁度不足している」

 凄まじい衝突が立て続けに起き、空気を揺らした。

 けれど、その後煙の中からあらわれたのは、少し頬に傷をつくっただけの、実質無傷と言ってっていいほどの奴の姿だった。

 クリームヒルトは頬から垂れる一筋の血を拭いながら、言った。

「確かに魔術ではないようだ。打ち消せぬ。だが、さして痛くはなかったな。やはり劣等の力であるということか」

 無敵なのではないかとさえ思わせる、その絶望的なシーンを見せられたアレイスターは言う。 両手を正にお手上げというように挙げて。

「はあああああああああああああああああああああああああ????? なんだこいつバケモンかよ!? クソ! 駄目だわ裁駕ス、俺帰るわ。無理無理、こいつには勝てんだろ」

「アンタ、何勝手な……」

 あまりに無責任なその態度になっちゃんが思わずツッコミを入れるが、俺は大体この展開を予測していたので、それを制し、アレイスターを脅すことにした。

「いいや、お前が帰ったら俺は多分死ぬし、そのせいで契約主を失ったお前もこの世界からおさらばだぜ? 困るだろ? な、ちょっとアイワス貸してくれるだけでいいからさ」

 アイワスとは、彼女の聖守護天使であり、彼女の呼びかけに応じて人の身に下ろすことが可能な代物。その際に天使堕ち状態となった人間は大幅に戦闘能力が向上するが、通常であればその負荷に耐えられず死亡する。

 そう、通常であれば。

「いや別に、テメエが死のうと……。って、アアン? バカか貴様。お前程度のゴミカスがアイワスなんぞ使ったら全身焼ききれの上、前立腺がんとかになんぞ?」

 アレイスターはその事を遠まわしに俺に伝え心配してくれるが、問題ない。

 なんてったって今の俺は祝福されているのだ。おそらくだがその負荷にも耐えられる。

「多分大丈夫だ。俺にはウルティオが残してくれた加護がある。他のみんなも俺を支援してくれ、俺が前に出る」

「りょ」

 なっちゃんはやはり察しが良い。助かる。

「かしこまりました……。うふふ、ということは一つに、ですね……ふふ、ふふふふふふ」

 しょうこの場合は察しがいいというか、単に俺に従順且つ盲目なだけだろうが、今日はそれが有り難い。

「ちっ、変な空気作りやがって! 殺すぞ、ボケが! 乗ってやるよ、このクソガキ! 覚えとけ! クソっ!!」

 アレイスターは口が悪いが、反対に心がチキンなので、みんなの様子を見て、乗らざるを得ないと判断したようだ。

 その三人の返事を聞いて、俺は勝ちの芽が見えてきたことを悟る。

 そして勝利を磐石なものとすべく、同僚の元へと連絡。もちろん、彼女のストラージャの力を借りるために。

「オーライ、じゃあクレアも頼むぜ、聞こえてんだろ?」

(もちろんよぉ。ていうか合図しだいでいつでも行けるようになってるし。蕭何ちゃんもバッチシだって言ってるわあ)

 よし、全てはうまく回っている。後は俺の心が折れ無い限り、勝てる!

 その様を見たクリームヒルトが口を開く。

「敵の眼前で堂々と作戦会議とは、肝が座っているな。紫紺寺裁駕。はやくその肝を我が手中に収めてやりたいものだ。だが、私が汝らを黙って見ているとでも?」

「お前の対策なら、もうずっと先に打ってる」

「ハッタリを……。――――なにっ!?」

 そう、ここで奴は気付く。自分が動いていなかったのではなく、いつの間にか動きを封じられていたのだということに。

 クリームヒルトの体は、我がストラージャの不過業によって硬直させられていた。

 なぜならば、俺はアレイスターが魔法を使ったのに紛れて、伏せていたカードを密かに表にしていたから。

 つまり、俺の最大の勝負札、恋人の役の大アルカナを。

 恋人のストラージャは、お互いが愛し合ってさえいれば、その度合いに応じて魔力を恋情で肩代わりすることができる。故に突発的同時召喚が可能なのだ。とはいえ、ウルティオの助力がなければここまでの完全な形での纏臨は不可能だったが。

 だから、今俺はストラージャ二体に死者一名という、通常なら有り得ない数の強者をこの場に呼び出している。

 俺の真横に、彼女はふらりと現れて言う。

「はあ……、やっとお呼びくださいましたね。……何時振りかなあ、寂しかったなぁ、なんて、ええ知っておりますよ? 私なんて困ったときにだけ呼び出される都合のいい女もとい、貴男様の道具であると。いえ、ええ、いいんです。私みたいなひねくれもの、呼んでいただけるだけで光栄ですし。いえいえ。全然、嘘なんてついておりませんとも? ええ、全然。いつも最後の方にばかり呼ばれて涙を流してなんていないですし、別に悲しくなんて……」

 この陰気且つ虚弱な感じのかわいい子が、俺の持つ恋人の役の大アルカナに封ぜられしストラージャ。目元まで隠してしまうような長い髪と、低い背、自己主張の少ないローブのような服装が、彼女の特徴。名を、スキピオ・アフリカヌス。羅馬の偉大なる軍人だ。

 そんな彼女を睨めつけながら。

「私に、何をした?」

 クリームヒルトは、初めての戸惑いを見せた。

「どうして我が主の敵に、私がそんな大事な事を教えねばならないんでしょうか? 貴方まで私を道具だとでも云うおつもりか? 一見しただけでそんな風に見られる等と、はあ……、私は何と卑しい面をしているのでしょうか……。ほよよ……」

 そう言って、スキピオは可愛くため息を付いた。

「ですが、嗚呼、だめです。間抜けな敵を前にすると……功名心が出てしまいます。ああ、だから嫌われるんですよね。はい、知っていますとも。ですが……、これだけは云わせて下さいませ。貴方の戦術――実に御しやすかった、と」

 そう言い放つ彼女の髪で隠された下のタレ目が、相手を挑発的に睨めつけていた。

「くっ……! 思想体現、類型十五――デカルトの理性過信」

 忌々しそうにスキピオを睨み、クリームヒルトはその能力を行使する。

 けれどそんな安直な行動を、常勝不敗の大軍師スキピオが読んでいないはずもなく――

「Rapina! 思想体現、類型十六――パスカルの理性批判」

 彼女はクリームヒルトと同様の手法で彼女の能力を打ち破る。

 これこそ彼女の不過業『#戦理踏襲__イミニクス・イミテーション__#』。敵が使用した戦法及び魔術や不過業等を見切り、自分のものとするある意味反則とも言える不過業。

「なんだと!? こんなストラージャを紫紺寺裁駕が所有しているという記録は無かった。それに、三体同時に纏臨だと!? ふざけるなよ……劣等……!」

 彼女は俺の奥の手だ。そう簡単にバレてたまるかよ。

「諜報の段階で、貴方は負けていたということです。残念ですが。うちのご主人を舐めないでもらいたい。狡い事にかけては当代一なのですから、ふふふ。私はその次の次あたりでしょうか」

 スキピオは毒を吐きながらも、幸せそうに微笑む。

 そして――

「ありがとうスキピオ。もういけそうだ」

 とりあえず、彼女のおかげで俺が戦闘態勢に入る準備は出来た。

 さあ、ここからが本番だ!

「はあ、あなたのその言葉で一つだけで満足してしまう自分が憎い。まるで雌犬のよう。とんだ駄犬ですね……。ただ、願わくば、褒美をねだらせてくださいませ。貴男の無事の帰還。それだけがこの小職の望みでありますれば」

 そのささやかな願いを叶えられるかは正直自信がなかったが、俺は彼女の細い肩を叩く。

「まかせろ。スキピオの指揮があればなんとかなるさ」

 すると彼女は嬉しそうに笑って、直後表情を引き締めた。

「この時程、我が身が軍師としてではなく恋人として願われたこと、喜び悔やまずにはいられません。ですがこの戦い、恋人のストラージャとして貴男を支えましょう。貴男に、最高の勝利を」

 そして――それぞれの詠唱が、終わる。

「法の書よ、目に付く全てをぶち壊せ! 俺の道を開けろ! アイワス!」

 アレイスターの魔法によって、俺の肉体に天使が堕ちた。全身が熱く燃えたぎるように熱を持ち始める。皮膚が赤黒く染まり、体の内部が発光。全身の血管が悲鳴を上げていく様な感覚が俺を襲う。事実、肢体の各所から突然の出血、筋の悉くが断裂を始める。

「――人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度生を得て、滅せぬ者のあるべきか」

 なっちゃんのそんな厭世的な唄がこの身を包む。この句、敦盛は、彼女が最も好んだ舞。

 それは、織田信長にとって勝利の象徴でも死の象徴でもある一節。しかし、舞を舞う直後になっちゃんがその身を犠牲にして負の面を請け負うことにより、たった今俺は天下布武の加護、即ち不可能を可能にする力のみを得る。これぞ織田信長が最後の絶理、敦盛。

「嗚呼、どこまでも一緒、デス……。今度はワタシを殺シテ……? ええ、アナタト定、二人キリ……!!」

 それだけではない。死後も愛する人と二人きりの世界で愛し続けたいという思いが叶えた奇跡が今ここに現出する。それはしょうこの愛の対象である俺に彼女が生霊となって取り付き、愛を邪魔するもの全てをこの世から根絶するという狂信的な愛の絶理。彼女の愛はそれほどまでに重く、俺を包み込む。けれど今はその重みが、頼もしかった

「戦いの末に、貴男は何を見るのでしょうか。勝利の末に、栄光は無いとすれば……。我が非道なる全能神の信託ユピテイルヴィクトリア!」

 更に、常勝を誇った史上最有の大軍師、スキピオアフリカヌスの指揮が、俺を最善の方向へと導く。彼女が示した百戦百勝の采配は、彼女が未来予知さえ可能であると周囲に思われる程であったという。そんな彼女を常に見守っていたとされるユピテルの加護。それは、俺を暖かく包み込んだ。もはや俺は、考えることなく、最適解へと辿り着ける。

(簫何ちゃんの三傑の援も発動させたわよ、頑張って! ついでに、私の支援も出血大サービスしといたわ。こんなこと滅多にしないんだから、……感謝なさい?)

 最後に、クレアとそのストラージャである簫何が俺を鼓舞する。彼女の絶理はアイワスによって無限に崩壊を続ける俺の肉体を繋ぎ留め、俺の肉体を最善の状態へと保ち、敵の内部情報を俺へと送り続ける。

 俺はここにいるみんなの想い、その全てを背負い、叫んだ。

まるで、彼女達のストラージャにでもなったかのような心地で。思いっきり。

「いくぞォ、クリームヒルトオオオオオオオオーーーーーー!!!!!!!」

 それでも奴は、氷のようなその冷たい鉄仮面を外すことはなく、告げる。

「何を莫迦な。そんなもの、全て否定してやればいいだけのこと。英雄への幻想等、私が、全て、粉微塵にしてくれる」

 その腐り落ちたムカッ面、ぶちのめしてやる!

 俺はそう誓い、憎き糞野郎めがけて、駆ける。全身全霊で、走る。

「思想体現、類型百七十八――ダーウィンの聖書批判」

 七人の想いを託された俺の拳は、奴がその長ったらしい文言を言い終えるよりも早く奴の頬へと届く。聖人・天使・武将・愛人・軍師・同僚・官吏、それら七つの加護を受けた俺の速度は、とうに人間の出せる限界を超えていた。

「ごちゃごちゃうるせえぞ、糞野郎がっ!」

 俺の体は、既に人の身にあらず。それはつまり、クリームヒルトの用いていると思われる能力、他者の思想の引用及び具現化程度では、止まらないことを意味していた。人間の思想が通じるのは人間に対してだけだ。それ以上を求むは、冒涜であると知れ。

「ちっ! ぐっ……!」

 音速の、岩石の様に重い一撃が奴を襲う。

「お前は表面でしか捉えてねえよクリームヒルト、キリストの偉大さについて何も知らねえ! だからダーウィニズム如きでウルティオの絶理を無効に出来ると思ってやがる! だが、そんなに人の想いを簡単に弄り回せると思ったら大間違いだ! 隣人愛について説くつもりなんて今日はねえ。このままぶちのめしてやる!」

「黙れ。思想体現、類型百六十七――スピノザの奇跡否定」

 奴はそれでも、他者の思想で、俺達を否定する。先人達の思想を乱用し、今を生きる人々を否定する。だが、そんなものは通用しない。たった今俺の体には、俺を含めた八人の想いが満ちている。それを、この強い想いを、たった一人ぼっちのお前が否定しきれるかよ、クリームヒルト!

「甘い、思想体現、類型百九十九――アインシュタインの宇宙的宗教感覚」

 それに、奴が俺達を否定するたびに、スキピオが俺達を肯定し、その能力を相殺していく。ここに、奴の能力は完全に無効化されたと言っていいだろう。

 けれども、それでも。奴は、また同じ言葉を紡ぐ。まるで、縋るかのように。

「思想体現……」

「だから! それが! 故人への冒涜だっつってんだよ!」

 俺は、怒りを爆発させた。奴に掴みかかり、そのまま頭突きをキメる。

「がっ……。それの何が悪い。私達は……、私達、神血二十一姫アンドロギュノス業の簒奪者プルートアイズンは、今は亡き先人共によってデザイナーズベイビーとしておぞましい程の優生学を根拠とした人体実験の末に生み出され、結果彼等の望んだ通りに第六感或いは殺傾向と超人的肉体強度を兼ね揃えた新人類としてこの世に生を受けた。そんな我等が、先人に命を玩具同様に扱われた我等が! 先人の遺産を食い荒らしたところで、何の問題があるっ!」

 クリームヒルトは、頭から血を流しながら、とうとう言葉を荒げ、激昴した。

 奴の言う事実は、嘘であれ真であれ、悲惨な話ではあった。

 だが、だからといって――

「ガキみてえなこと言ってんじゃねえぞ! 『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』この言葉の意味を、黄金率も理解できてねえような、青二才が他人の論理で偉大なキリストの教えを捻じ曲げようなんて、烏滸がましいにも程があるってんだよ!」

 俺の大好きな人達を傷付けていい理由にはならねえんだよ!

 そんな自分勝手な理由で、人様の世界にやってくるんじゃねえ!

 燃えたぎる想いの乗った拳が、ひたすらクリームヒルトを撃つ。

 奴はそれを体をひねって躱しながら、続ける。

「くっ……。好き放題いってくれるな……! であれば汝らはどうなのだ! 過去の偉人達に縋り、思いを馳せ、自分には叶えられないからと彼等に望みを託し、自分では何もしようとしない。遂にはその人間の罪深き怠惰が、ストラージャと呼ばれる人類の奴隷をつくった。そんな貴様等は、私と同類ではないと、汝は恥も外聞も無く、そう言いきれるか!」

 憎まし気にこちらをにらみ、そう語るクリームヒルトの弁は、確かに正論であった。奴は俺と似たような考えを口にした。それはきっと、奴らの世界にとっては奴らがストラージャの如き存在として扱われているのであろう事を察せられるものであった。

 でも、だからこそ。俺ははっきりとそれを否定する。否定、出来る。

「言い切れるさ! 中にはそんな人間もいるかもしれねえがな、俺はそうじゃないって言い切れる! 俺は彼等を道具だなんて思ってない。そんなみんなとの生活は、両親を早くから失った俺にとっては救いだった。そんな俺が、てめえみたいな故人の価値観を勝手にこっちで作り上げて他人に押し付けるような糞野郎と一緒にされてたまるかよ!」

 人は弱い生き物だ。だから、誰かに縋るのは当然のこと。ただ、忘れてはいけないのは、その対象だって、縋るべき何かが必要だということだ。

「そうです。不肖の我々の前でこんな恥ずかしいセリフを堂々と叫べるのは我が主くらいなもの。ええ、そうですね……、そのみっともなさこそ貴男の誇らしいところですゆえ」

「クハハハハハハハ! 人間の妄想の塊に馬鹿にされる気分はどうだよサイガ! オラオラオラオラ! ッフーーー! 気分が乗ってきた! 二割増だ、おら、ケツの穴引き締めて死ぬ気で耐えろよサイガァ! もっともっともっとォ! ぶっぶち壊せ、アイワス!」

 だから俺には彼女達が必要で、彼女達も俺を必要としてくれた。

 それがわからぬ悲しき目前の敵は、その身を俺の拳に晒しながらも、その美しい中性的な顔を苦渋に染めて、毒々しく言い放つ。

「分かり合えぬようだな。惜しい、ひどく惜しい。汝らの住むこの陰世界さえ手中に入れれば、我等が悲願はかなったであろうに! これほどまでに全時代にわたって女性が強力な因子を持ち、且つ社会進出している世界は他に無いだろう。また別の世界を探すのは骨が折れる。だが、だがしかし、何故だか解らぬが、汝は今ここで絶対に殺さねばならぬという熱意が、突如として、沸々と湧いてきた。そして、汝が愛したであろうこの世界を破壊してやりたいという衝動も。感情を嫌う私が、こんな気分になるのは初めてだよ。紫紺寺裁駕。私は今、汝に、明確な殺意と憎しみを覚えている!!!」

 クリームヒルトは怒りで拳を震わせ、握りしめたその手から、一筋の血を滴らせていた。

「だったら、来いよ! 俺が先にお前を殺すけどなあ、クリームヒルトォーーーー!!!」

 俺はそんな敵の姿を見て、感情を爆発させた。

 唐突に奴が放った神速の蹴りをスキピオによる指示で躱し、その顔面に思い切り右拳を叩きつける。

 そして、その拳を敢えてそのまま頬で受け止めたクリームヒルトは、その俺の腕を折るかの如き勢いで掴み、咆吼した。

「紫紺寺裁駕ああああああああああああああああああああああああああーーーー!!!」

 八神殿内を、二つの膨大な熱量が包む。

 その二つの圧倒的塊が、激突する!

 俺とクリームヒルトは再び額と額を激しくぶつけ合った。火花さえ飛び散るほどの衝撃が生まれ、大気さえを揺らす。それは、人の座を捨てた二者の、純粋な衝突。

「お前が、お前が、お前がっっ!!!!!! 憎いっ!!!!! 憎い! 憎い!」

「俺もだよ!! クリームヒルトォ!!!!」

 二つの大きな思念が、真逆のベクトルの質量を持って相反す。そこにはなんの技術も・知恵も・工夫も無い。ただのぶつかり合いだ。ただ両者は思うがままに拳を振るい、足をしならせ、身体を躍動させる。

 それは、肉体のぶつかり合いであると同時に、精神の・感情のぶつかり合いでもあった。

 この戦いで重要なのは想い。それこそ、この戦闘の肝であると、不思議と直感していた。

「ただひたすらにっっっっっ!!!! お前が!!! 憎い!!!」

 口調さえ変えて、クリームヒルトは俺へと猛攻を続ける。一発一発が本来ならば致死の一撃。それでも、俺達はそのレベルの拳をお互いに何発もぶつけ、ぶつけられ、攻防を繰り返す。自身の肉体の崩壊すら気に止めず。ただ目前の仇敵を、跪かせたいが為に。

 ただ、それだけの為に。己が命さえ賭して。

 ドッ!! ゴッンンンンンン!!!!!!

一発の裏拳が、俺の体の芯へと直撃し、血みどろのこの体を彼方へと吹き飛ばした。宙を舞った俺は、轟音と共に八神殿の内壁を突き破る。

 また、それとほぼ同時に決まった俺の右拳も、クリームヒルトの細い身体をぶっ飛ばし、向こうの壁にその身をめり込ませていた。

「んっ! ぐ、……がっ!!!!!!!!!!!!!」

「っ……かはっ!! ああああああああああああああああああああああ!!!!」

 ひび割れ、発熱し、焦げる身体を貫く痛み。壁だったものの残骸が、ただでさえ朽ちかけている俺という生き物の構成要素をズタズタに裂いていく。

(貴男様! 上です!)

 スキピオが遠隔操作すら行えぬ程に衝撃を受け一時的に硬直してしまっている俺の脳内に、彼女から慌てた声での懸命な指示が届く。

 重い頭を一瞬で動かし天井の方を見やれば、戦闘の余波で崩れ落ちた巨大な木材が、今にも俺の体めがけて落下しようとしているところだった。

 これをまともに受けたなら、恐らくこの体はもう駄目になる。そんな直感があった。

 けれど、体は既に動きを止めている。先の一撃が相当応えたらしい。元々天使堕ちによって蝕まれている体を、更に痛めつけている。絶理による支援も、その膨大な消耗に間に合っていない。破壊されていくそばから再生されていくといっても、それにも限度がある。

 くそ! よけらんねえ――――

 そう思ったのも束の間、その大量の木材は一瞬で消し炭となった。不意の爆炎によって。

「おい、サイガ! ぼさっとしてんなよクソが! こっちはアイワスだけで手一杯だっつーの、あんま手間かけさせんな! この雑魚! 次はねーぞ!? ゴミクソカスが!」

 俺を助けたのは、なんとあのアレイスターだった。全く、素直じゃないやつだ。

 でも、ありがとう。お前がいなきゃ危なかったぜ。

 俺はそう心の中で呟き、ようやく立ち上がる。体を覆っていた瓦礫や粉塵がパラパラと落ちてく。今の一瞬で、ダメージもある程度まで持ち直したようだ。ほとほと、俺を今支えている奴等の力の大きさに感服する。ほんと、大したもんだぜ、まったく。

 しかし、立ち上がったのは、当然俺一人ではなかった。

 時を同じくして俺の反対側の真正面では、一人の人間が瓦礫を押しのけ、硝煙の中からその均整のとれた姿を露にする。

「ふ、今ので命を落としたかと思ったが……、そううまくはいかぬのが汝であったなあ、紫紺寺裁駕ァ!!!!」

「安心しろよ、……お前が死ぬまで俺は死なねえ……!」

 口内に混じる血液を吐き出しながら、構えを取り、直線上に位置する敵を睨みつける。

 すると、それに応じるかのように、クリームヒルトは例の言葉を口にした。

「思想体現、類型二百七十三――ラプラスの悪魔……」

「させるわけないでしょう? 思想体現、類型二百七十七ハイゼンベルクの不確定性原理」

「……思想体現、類型二百八十一――アインシュタインの因果律」

「無駄ですよ。思想体現、類型二百八十八――ベルの不等式」

 けれど、その尽くは、我が恋人のストラージャ、スキピオによって無効化される。

 そんな奴の姿を見て、痛む肺に無理やり空気を送り込み、俺は思わず叫んでいた。

「まだ、使うかよ、無駄だっつってんだろ! お前が他者を引用するように、俺は仲間に依存できる! それが、まだわかんねえか、クリームヒルト!!」

 俺の自分勝手な問いかけに対し、帰ってきたのは……壊れた、掠れた、哀しい自嘲。

「……はっ、は、ははははは。そうであったな、汝らにこの力は通用しない。体は勝手に動くというに。ああ、なんと腹立たしき。この日の為の能力、この日の為の私。それが通じないとすれば。であれば……、であれば、もういらぬ。もう、この身一つで汝を打ち滅ぼし、……この情動、果たそうか……!」

 そう言うと、彼女は身につけていた黒のベストを乱暴に投げ捨てた。その虚空を舞った衣服からは無数のカードキーの様な物が零れ落ち、地べたに散った。

 そして、奴はブラウスのボタンを引きちぎり、驚くべきことに、そのまま自身の胸部へと手を突っ込んだ。体内へと、侵食する腕。赤い血が白いブラウスを汚し、引き戻された奴の手の中には何か小さな物体が握られていた。それを、奴は地面へと放り、踵で思い切り踏みつける。

 バリッ! と、決して大きくはない音が八神殿内を木霊した。けれど、それが大きな意味を持つ響きであることは、誰の目にも明らかであった。

「行くぞ、紫紺寺裁駕!!!」

 怒号。クリームヒルトの中性的美貌に、ちらっと笑みが浮かんだような気がした。

 ――しかして、次の瞬間。

 俺は、蹴り込まれていた。

 赤く染まったクリームヒルトが、目にも止まらぬ速度でこちらへと駆け、まるで瞬間移動をしたかの如き蹴りを、こちらへと打ち込んできていたのだ。

「ぐっ!」

 スキピオの指示による咄嗟の防御がなければ、致命傷だっただろう。暴力的スピードで飛んできた奴の一撃は、その実、これ以上無い程精密にこちらの急所を狙い済ましていた。

 かと思えば、ただ速さと力にモノを言わせただけのラッシュを畳み掛けてくる。それは、純粋な強さ。単純且つ明快なそれは、奴のおよそ人間とはかけ離れた超常的身体能力から繰り出された時、最強の攻撃となってこちらを襲う。

 この場合、俺の、四肢を胴を頭部を肉を骨を臓器を! 即ち、俺という全てを!!

「かっ! さながら、ビーチャーの偽薬効果、とでもいったところだろうかなあっ!」

「くっ! ようやく、自分本位な力をつかうようになってきたじゃあねえか! なあっ!」

 俺達は己の全てを賭けてぶつかりあった。文字通り、全身全霊を賭けて。

 血肉飛び交う果し合いに、小細工は要らなかった。むしろそれは、邪魔でさえあった。

 そんな形でこいつを倒しても、お互いに満足出来ない。それ程までに、お互いがお互いを憎む気持ちは強く。ただ全力をぶつけた先の勝利を、俺達は求め合っていた。

「これが! この、絶対にお前を殺してやるという原動力が。感情の、私が最も忌み嫌う! 妄執というモノの、力かよ!!」

 殴り殴られながら、びしびしとクリームヒルトの執念が伝わってくる。筋は裂け、骨は折れ、関節の繋がりさえおかしくなって、血を流し、ぼろぼろになりながらも、それでもなお立ち上がる。そんな不死者が如き奴を支えているのは、そんな、ただの意地であった。

「そうだぜ、これが! これこそが! 人間の力だ! クリームヒルトォォ!!!!!」

 だが、俺はそれだけじゃあない。みんなの意地まで、背負っている。

 だから、負けられねえんだ。

 たとえ、体中の骨が砕かれようと。体を動かす筋肉の全てが焼ききれようと。

 たとえ、全身を巡る全ての血液を流しきったとて、俺は、負けられない。

 否、負けることは、許されていない。

 まだだ、まだ出し切れる。自身の出せる全力を、俺はまだ出し切れていないはずだ。臆するな。俺という存在の全てを、ただコイツを、目の前のこの憎きコイツを倒す。ただその目的一つのみの為に機能させろ。そうして漸く、俺は奴と同んなじ土俵に立てる!

(悪いな、スキピオ。もう指示はいい。支援に全力入れてくれ)

(かしこまりました。馬鹿な亭主様をもつと、苦労しますね。っ…………ご武運を)

 だから俺は、最後の後ろ盾すら捨てた。保険などいらぬ。盾など捨てろ、剣を取れ。

 守りに、逃げるな。甘えるな。ただひたすらに、辛く、難く、攻め続けろ。

「あああああっ! らあっ! ……ぐっ!」

「失せろっ!!! あああああああああああああああああああ!!!」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 俺達は殴り合いをつづけた。ただ、ひたすらに。

 打って、打たれて、打って……。無限にも思える応酬が続く。

 視界はとうにおぼろで、触覚はもう機能を止めていた。自分が何の為に戦っているのかさえ分からなくなってくる。考えることすら、もう満足に行えない。

 それでも

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 拳を振るのを止めることはない。

目の前にはまだ、二本の足で立つ、敵が、仇敵が、いるのだから!

「ぐっ!」

 命を振り絞った一撃が奴の腹部を射抜く。

 やった! 今のは奴にとっても痛打になったは……

「がっ!」

 何!?

 急速に体が真下へ吹き飛ばされ、床へと叩きつけられる。どうやら、クリームヒルトは両手を組んで思い切り俺の頭を打ち据えたらしい。

 そしてそのまま、奴は俺の身体の上へと馬乗りになった。

「死ねええええええええええええええええええ!!!」

 顔を狙う激しい猛攻。

 それを頭を振って交わしながら、俺は奴を体の上から退ける為に藻掻く。

 その足掻きは、お互いの力の拮抗を示すかの様で、何度も上下のポジションを入れ替えながら俺達は傷つけ合い、床をごろごろと転がり回った。

 やがてもみ合いの最中、奴の両足を使った蹴りが俺の腹部にめり込み、その衝撃で俺の体は吹き飛ぶ。

 ゴッッッッ!!!

 朦朧とする意識。全身を覆う痺れ。もはや痛みはなく、ビリビリとした形容し難き刺激が、体中を駆け巡っていた。

 俺は八神殿内壁へと恐らく衝突したのだろう。だが、それさえ認識出来ない。

 もう、何も見えないのだ。

 なんなのだろう。どこなのだろう。

 それに。

 なんだか眠い、意識が、もう……。途絶え…………。


 ――その時だった。

 声が、聞こえた。

 俺を呼ぶ声が。

 その声の主は誰だったのだろう。一人か、それとも数人か。よくわからなかった。

 けれど、確かにその声はあたたかく、どことなく鬱陶しいけど優しく。それでいて、厳しかった。

 だから、俺は――

 立ち上がれる!


「……このままじゃあ、終われねえよなあ! 正にそれこそ、男がすたる!」

 俺はただ、そう叫んだ。

 すると、全身を再び痛みが支配した。闇に囚われていた視界に光が訪れた。俺の名を叫ぶ声が鼓膜を劈いた。

 そして、目の前には、ふらふらとこちらへ近づくクリームヒルトの姿があった。

「まだ、動くかよ。……劣等の身で。人間の、身で!」

「だからこそ、じゃねえのか……」

 俺は壁に埋まった身体を引きずり出し、よぼよぼと立ち上がる。

 粉塵と血肉に塗れた赤黒い体は、宿敵の方へと一歩一歩踏み出した。

「知らんさ、そんな理屈。理解もしたくない。故に、終われ。……いや、この手で終わらせてやろう。紫紺寺裁駕!」

 両者の距離は、少しずつ、近づいていく。

 血の跡を紡ぎながらびっこを引き、真っ直ぐに歩くことすらままならぬ満身創痍の二人。

 それでも両者は、歩みを止めることなく。惹かれ合う、磁石の如くに。対極の同士故に。

「終わるのは……、お前だ。クリームヒルト。俺には、俺の勝利を願う人がいる。だから、俺は負けねえ。人を動かすのはいつも、人の想いの力だ」

「ハッ。想いの力、か。私の勝利を願うものはいるだろうが……、つまりそういうことなのだろう。……いや、御託はいい。そろそろ、フィナーレといかせてもらおうか!」

「ああ、これで終わりにしてやる。クリームヒルト、お前を、殺す!」

「ああ、私も、そのつもりだ。……死ぬがいい、紫紺寺裁駕!」

 二人は、もうお互い手の届く距離にまで達しつつあった。

だから俺は、力を込めた。

 もう、これで終わってしまっていい。この一発に全てを込めて。全力をこの一撃に、全魔力をこの右拳に。身体を巡る何もかもをも、この掌に。

 両者は、今此処に、今日何度目かもわからぬ激突を、けれども今日初めての密度を持つ激突を、果たす。それを果たすべくその傷だらけの拳を振るう。

 振るわれた拳が纏う熱はきっと、この世の何者よりも熱く。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 咆哮と共に解放されたお互いの拳が、お互いの顔面を同時に穿った。守り等一切考えずに放たれたその一対の拳は、その全てを目前の敵を壊すことだけに特化していた。故にこそ、どちらかが倒れるまで、この手は伸び続けるだろう。

 ゴギャン、という凄まじい音と衝撃が周囲に響き渡り、俺の身体を猛烈な熱量が駆けずり回る。目標を捉えても止まらぬ拳。その弾丸の様な渾身の一撃は、ぐりぐりと頬にめり込んでいく。骨から伝わる刺激に起こる目眩。左足がもう崩れそうだ。それでも踏ん張る。

 なぜなら、目の前の敵がまだ苦しげに、しかし不敵に、笑っているのだから。

 奴を倒さずして、倒れることは適わぬ。許されぬ。

「「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」

 二者の猛り。体の芯から絞り出された怒声が、風が吹いただけで腰砕けになりそうな、前後不覚のぼろぼろな肉体を奮い立たせる。

 勢いを増し続ける拳。けれど両者、互いに屈せず。実力は五分の五分。

 ならば後は、気力の問題だった。

 俺は大切な人達の顔を思いだず。家族同然のストラージャ達、同僚達、恩人であり師でもある上帝・雅子。そして愛妹・瑠羽。彼女達の為、俺は負けられない。それに、あの謎の少女、ウルティオの為にも。

「勝つのは、俺だあああああああああああああああああああああああああああ!!!! クリームヒルトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「ほざけぇぇぇ、紫紺寺裁駕ああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 その宣言は、標的の身体を蝕み続ける拳に、更なる力が加わった様に感じさせた。莫大な質量の奔流に耐え、それでもこの手を止めない。ただひたすらに、ぶつかりあう力と力。想いと想い。

 その余波は、大気さえを揺らし――


 やがて――

 どすっ、という音と共に、俺の拳は空を撫でた。

 気づけば、先程から嫌という程この瞳に焼きついていたクリームヒルトの姿が、不意に目前から消えていた。二本の足で立つ、憎き奴は、もう、いない。それを認識した途端、糸が切れたようにふっと全身から力が抜ける。体が勝手に、地面へと倒れ伏していく。ばたっ、と、音を立てて。一切の言うことを聞かずに動くのを止め、地に横たわった俺の体の横では、目を伏せたクリームヒルトが事切れていた。

 隣にいるのは、もう己の全てを出し尽くし、ミイラのようになった死体。

 勝利した。そう直感した俺は、いつの間にか目を閉じていた。遠のく意識。

 その中で最後に思ったのは、ウルティオへの感謝、そして……。

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