心の中の夏休み
双葉カイト
第1話
7月30日 金曜日
「それでは皆さん!!夏休みを楽しみましょう!!」
「それでは各自。先生の指示に従って教室に戻ってください。」
ボク達は先生に従って教室まで向かっている。
やっと全校集会の校長先生の長いお話が終わった……。
よく校長も体育館の中でこれだけの話をすることが出来るのかなぁ……。
みんなも待ちくたびれたのか、教室まで歩いている時はもうおしゃべりをしていた。
「はぁぁぁ……やっとあのおでこぴかぴかの話が終わったよ〜……。」
ボクの隣にいる友達の祐介(ゆうすけ)もくたびれたようだ。
ちなみにおでこぴかぴかとはあの校長のことである。
校長は禿げていることや話が長いためによく色々な人からたくさんのあだ名を付けられている。
例えば、「坊さん」や「はげ山」などの頭のことから「ベラベラじじい」や「集会の悪魔」などの長話に対しての苛立ちを込めた名前までもある。
「でも夏休みか〜!今度はどこに連れてってくれるかな〜?バーベキューとかしてみたいし……うぅ〜!楽しみだ!」
祐介は夏休みに対しての壮大な期待感を寄せている。ボクにとってはどうでもいい事だが……。
「なぁ?颯は夏休みどっか行くとかないのか?」
「今のところはないかな。まず宿題終わらせないといけないし。」
「ここに来て宿題の話題はやめてくれよ〜……。」
祐介はいつも宿題をやってこないため、その事についてだいたい居残りか説教をくらっている。
ついこの前も算数ドリルの宿題をやり忘れて放課後こっぴどく絞られていたらしい。
「だってそうしないといつも祐介は宿題忘れちゃうじゃん。」
「でもさ〜……夏休みってたっくさんあるんだぜ?宿題なんてちょちょいのちょいで終わっちゃうって!」
こうゆうこと言っているが、果たして宿題が終わるかどうかが見ものである。
そんな夏休みの話をしていると、教室の目の前まで来た。
「はいはい、皆さん着席して静かにしましょうね〜。」
教室に入り、ボクを含めた皆が自分の席に座っていく。
「それではみんなの成績をまずは返していくぞー!喜べー!」
「「「えーーーー!!!」」」
教室内に不満のブーイングが続発した。もちろんボクも含まれている。
「嫌だと言われても問答無用で返していくぞー!まずは青木からだー!」
先生はブーイング関係なく成績表をみんなに返していく。
成績が悪かったのか顔が青ざめているもの、はたまた成績がよかったのかガッツポーズしてるものなど様々な反応があった。
「はい次!日向 楓!」
「はい!!」
自分の名前が呼ばれたので、成績表を取りに行く。
成績表を受け取り、どんな感じか見てみると、
《全体的に標準な成績ですね!あとはこのままペースを崩さず頑張っていきましょう!》
と書いてあり
(とりあえず親には何も言われなさそうでよかった。)
内心ほっとしていた。
自分の成績表を眺めていると、いつの間にかみんなの分を配り終わっていたみたいだ。
「よーし!みな成績に関してはガッカリした子も居れば良かった人も居るだろう!!」
「でも過去のことは気にしてはいけないぞ!!今回で成績が悪かったなら次回で挽回すればいいじゃないか!!
そのために先生達が頑張って君たちのために宿題を用意したぞー!」
「「「えーーーー!!!」」」
また教室内でブーイングが響き渡った。
その後なんとか宿題や教科書などを全部ランドセルに無理やり詰め込み、校門から出ることが出来た。
パンパンになったランドセルはまるで鉄塊のような重さになっていたが……それでも探検が出来ないレベルではない。
「よし!今日はあの廃工場を探検しに行くぞ!!」
なのでボクはいつも通りに寄り道をしていた。
この廃工場は一昨日発見したもので、中には色々な機械や部品などありボクの興味を引き立ててくれるのだ。
しばらく歩き、目的地の廃工場まで辿り着いた。
「よし!なにかいいもの見つけるぞー!」
やる気満々で廃工場を探索していくと、何やら人影が見える。
およそボクと同い年で白い服を来ているようだ。
「こんな所にボク以外の人が来るなんて……。」
しばらく棒立ちになっていると、その子が振り向いてこっちに向かってきた。
咄嗟に逃げようと思ったが何故か動けず視線も逸らせなかった。
ボクとの距離が1mも無いぐらい近づいた時、その子は
「ねぇ?君の名前はなんて言うの?」
とボクに質問していた。
これがボクとその子の最初の出会いだった。
そしてこれからの夏休みが大きく変わっていくのだった。
心の中の夏休み 双葉カイト @KAITO0110
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