社長候補たちの攻防の末端

二日目、昼。

 戦略としてはごく普通の流れである。


 倒されても痛くない消耗品の捨て駒を手広く広げ、最初に戦わせる。


 勝利すれば良し。敗北しても貴重な情報が手に入る。


 そして下準備が整った段階で、捨て駒たちに己のベルを壊させる。


 ……ルール上、ベルを失えば自陣営は−1ポイントだが、デュエルに負けてばそれに加えて相手陣に+1ポイント入る。即ち2ポイントの差ができてしまう計算になる。


 2点よりも1点を、と計算してのベルの破壊は合理的だった。


 そしてベルを失った捨て駒たちはルール上、デュエルとは関係ないとなる。


 ノラは自由に行動し、何処へでもいけるし誰にでも会える。


 何よりも、自衛のために戦うことも、危険なこの世界ではあるだろう。


 ……流石にデュエル中に乱入、あるいは加勢することは憚られるも、デュエル外での消耗戦、物資の破壊、情報収集、即ち盤外戦は当然のことだと、四つの陣営は考えていた。


 だから二日目の昼ごろ、一斉にベルを放棄して集団戦に移行する彼らの行為を卑怯だと罵る社長候補は、一人しかなかった。

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