第2話 ガンマン・スペースファンタジー
その頃、空高く空気もない場所で、一つの衛星が四角いプレートのような惑星の周りを漂っていた。エクレツェアの民が住むこの惑星に飛来する隕石や衝撃波、自然現象から守るために作られた無人衛星だ。
その中には月に一度訪れる整備員二人が、定期点検に来ていた。
「おーい、管制室Bより。隕石確認、砲撃破壊用意頼みます」
「かしこまりましたー」
衛星内の宇宙服に身を包んだ男性二人が会話を終えて、衛星の底に装備された砲台を動かす。照準を合わせ。エネルギーを貯める。
そして、放った。
バシィ! だが、命中しても壊れる様子がない。
するとその時気がつく。
ギョロ、ギョロギョロ。
乗組員は唖然とした。隕石に目が付いている。
「あれ。今、目が付いてなかったか?」
砲弾を発射した作業員が不思議そうに眺める。
するともう一方の作業員が慌てて、
「ありゃ、わんわん彗星だ。仕方ない、餌で方向を逸らしてやるか」
そう言って衛星のモニターを見ながらキーボードを操作する。
しかし、それを止める仲間の声がした。
「やめてくれ」
「は? なんでだよ」彼はキーボードを操作しながら「あれは宇宙の生物なんだ。放っておいたら後々面倒なことになるぞ? あいつの糞が隕石になるんだよ」
それでも仲間は止める。
「あれは『俺のペット』だそうだ」
「は? あんなの飼育できるわけねぇだろ」
「こいつがそういうんだよ」
「は?」
まるでそこにもう一人いるかのような言い草に、作業員はようやく振り返った。
すると、案の定そこには不審者が佇む。
彼は仲間の頭に年季の入った銃を向けていて、反対の手からもこちらに銃口が向いていた。
だが、それよりもおかしいのは彼の格好。ここは惑星の周りを移動する衛星の中。すなわち宇宙のとある空間に、あまりにも似つかわしくないその姿はまるでカウボーイ。
又の名を、ガンマンともいうのだろう。
「悪いな、あれは俺のペットだ」
ガンマンはそういうと銃のハンマーを引く。
作業員は両手をあげて怯え口調で、
「一体どうやって入ってきた? ここは宇宙のど真ん中だぞ!」
「それは言えねぇよ。慈善事業で来てるんじゃねぇんだからよ」
そう言ってガンマンは引き金を引いた。
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