第百八十四話
巨大な魔法陣の中心に現れたのは、ゴブリンキングだ。
大量のゴブリンの上位種を従えているようだ。
ゴブリン?
醜悪な顔立ちをしているので、強そうに見えるが、ゴブリンキングがどれだけ強くなろうと、倒すのに苦労するとは思えない。問題になるとしたら数だけだ。
魔法陣の中には中央に普通の個体の2倍近いゴブリンキングが居るだけだが、その周りの上位種はざっと見た感じで1,500~2,000体?は居る。
倒すのに骨が折れそうだ。
進化体が居ると、少し面倒な事になってしまう。今の感じだと、上位種だけだと考えて良さそうだ。
ゴブリンの周りに、コボルトの上位種が現れる。数は不明だが、500程度だろうか?
中央の魔法陣の周りが点滅し始める。
点滅も半分くらいまで進んでいる。
「シロ。俺と一緒に正面から崩すぞ」
「はい!」
「オリヴィエとステファナは左側。リーリアとレイニーは右側」
「はい」「はい」
「かしこまりました」「わかった」
「エリン、アズリは、カイとウミに乗って、ゴブリンキングを頼む」
「うん」「了解」
『かしこまりました』『わかった』
「エーファ」
「はい!」
「他の者と遊撃。倒せなかった奴らの掃討!」
「はい」
点滅が終わるまでに指示出しと最終確認ができた。
ゴブリンとコボルトの集団だ。数だけは多い。囲まれたら躊躇しないでスキルを使用する。
「来るぞ!」
点滅が終了して、コボルトとゴブリンが動き出す。
上位種だけのようだが、ゴブリンは上位種の場合には、弓を使う個体も出てくる。
「シロ。弓を持っているやつを集中して叩くぞ!」
「はい!」
俺とシロとライで、ゴブリンの上位種で後方に控えている奴らを狙う。
大きく外回りで、後方に出る。上位種だけを狙っていく。ライが居るので、防御は完璧にこなせる。
俺達が弓を持った上位種を狩り終わる頃には、コボルトは大半が倒されている。
残りは、ゴブリンキングの周りに居る奴らだけだ。
ここまで来ると、後は誰が倒すかって事を考えるだけだ。
「オリヴィエ、リーリア。ステファナとレイニーがキングに向かう為の道を作れ。ステファナとレイニーは、キングをやれ!オリヴィエとリーリアは周りのゴブリンを掃討してくれ」
4人から承諾の返事が返ってくる。
その他は、残敵が居ないか確認しつつ、入り口の辺りに集結する。
5分後に、レイニーがゴブリンキングの肘から先を切り落した。
ステファナがスキルで首を落として終わった。
「旦那様!」「奥様!旦那様!」
2人が駆け寄ってくる。
スキルカードと魔核を見せる。
予想していた通り、スキルカードも魔核もレベル2だけのようだ。
魔核のスキルスロットは、下の階と同じで2-3個空いている。貴重な物だ。
さてどうしようかな?
上の階を目指してもいいし、この階であと数戦して、魔核を集めるのもいいかもしれない。
皆を見るが、俺に任せるという雰囲気だ。
魔法陣でわかった事は、魔法陣が表示される範囲内に誰かが居ると魔法陣が現れない。なので、テントを出して休む時でも誰かは魔法陣の床に触れている状態になっていると休憩する事ができるのだよ。
休憩する事にした。浴場を出して、俺とシロはテントで休む。
トイレも出しておく、あとは交代で休むだけだ。
ある程度の時間が経過するので、間違いなくもう一戦はする事になる。
食事をしっかり取って、武器と防具のメンテンナスを行う。
その後に3時間程度の仮眠をとった。
「準備はいいな?」
皆の方を見るが、もう準備が終わっている。
今は、エルマンとエステルが魔法陣が出現するポイントの床に居るだけだ。
扉はすでに閉じられているので、飛び立てば魔法陣が出現する。
「エルマン。エステル。いいぞ!戻ってこい」
先にエステルが飛び立った。
続いてエルマンが飛びだった。エルマンの足が床から離れた瞬間に魔法陣が出現した。
数は同じなのだろう。
配置も違いは無いように思える。
「エーファ。ティア。ティタ。レッチェ。レッシュ。エルマン。エステル。ゴブリンの上位種を頼む」
「はい!」
眷属たちが弓を持ったゴブリンを狙う。
俺とシロが行った役目を譲って欲しいと言ってきたからだ。俺とシロに危険な事をして欲しくないという気持ちなのだろう。そう言わない辺りが誰かの入れ知恵か疑ってしまう。
俺とシロとライは、一歩下がった所で、こちらに向かってくるコボルトとゴブリンを撃退するだけの簡単な仕事だけをやっている。無傷で来る
15分くらい経つと俺の周りにはコボルトの殲滅を終えた、オリヴィエとリーリアとステファナとレイニーが戻ってきている。
カイとウミとエリンとアズリは眷属達が戦うのを見ながらサポートに徹している。
最後はエーファがゴブリンキングの両手を切り落して、額に苦無を突き刺して終わった。
ゴブリンキングが神殿に吸収され終わったら、前後の扉が開いた。
魔核だけは拾い集めて、ついでだスキルカードも拾い集めておこう。レベル2のスキルカードは意外とスキル道具を作る時に重宝する物が多い。コボルトも、この階層になったら、レベル2の魔核かレベル2のスキルカードを落としている。
俺の感じでは、強さは変わっていないと思う。もしかしたら、レベル2に合わせて強化されているのかもしれないとも思ったが、感じなかった。
上の階層に向かう扉を抜ける。
やはりスロープになっていて半周回って、正面?から3階層に入るようだ。
「レッチェ、レッシュ、エルマン、エステル。今回も頼む」
ひとまず、二階層と同じ作戦で対応してみる事にする。
同じ作戦が通用するかはわからないが、今の所は安心できるのは方法は他にはない。
ゴブリンの階層よりは少し狭いようだ。
今度は、メインはオークの様だ。
オークキングが中央に現れる。
今後は、大きな魔法陣の中にオークキングを中心に別々の魔法陣が現れる。オークの上位種が現れる。違う!進化体だ!
進化体が4体。
「カイ。ウミ。エリン。アズリ。オークの進化体を頼む。1人1体だけど大丈夫か?」
『大丈夫です』『平気!』
「まかせて!」「簡単!」
力強い返事が返ってくる。
さっきと同じなら、まだ出てくるだろう。
オークの上位種が進化体の周りに出てくる。
それぞれの進化体の近くに50体程度だろう。全部で200体。
それ以外にも、ゴブリンの上位種とコボルトの上位種がそれぞれ300体程度だろうか?
魔法陣の点滅が始まらない。
まだ召喚?されるのか?
オークキングの近くにオークの上位種が100体程度現れた。
現れた事で、点滅が始まる。
概算で900体。
オークキングは脅威だけど、スキルを使ってくる事が考えられる進化体のほうに脅威を感じる。
「オリヴィエ、リーリア、ステファナ、レイニー、エーファ。俺とシロの周りに集まって、密集状態で対処を行う。ティアとティタはシロの護衛。レッチェとレッシュとエルマンとエステルは上空からスキル攻撃」
皆が動き出す。
魔法陣の点滅が終わろうとしていた。
魔法陣が消えた。
カイとエリンが同時に一体を狙いに行った。
各個撃破するようだ。ウミとアズリは一体ずつ担当して、対応するようだ。任せるしか無い。周りのオークの上位種は、俺達が引き受ける。
密集状態のまま900体の魔物の集団の中に突っ込んでいく。
背後をとられないように、後方に回っているシロとティアとティタとライが上手く対処している。
スキルで岩壁を出したりしながら、なるべく多くの魔物と一度に対峙しないように調整しながら戦う。
上からのスキル攻撃は、牽制にもなって有効な事がわかった。渡しているスキルカードが低レベルの物が多いため致命傷は与えられないが、ヘイトを稼いだり、奥から前線に無理矢理出ようとするオークの上位種が出たりして、混乱している。
その混乱を利用して、レイニーやエーファが数を減らしていく。
コボルトはすでに殆どが倒されている。
ゴブリンも殆ど居ない。あとはオークの上位種だけだ。カイたちが担当していた、進化体もあと一体が残っているだけだ。オークキングは、アズリが相手をし始めている。
もうすぐ倒せそうな状況だ。
まだ、カイとウミとエリンとアズリはスキルを強化系以外のスキルを利用していない。
まだ余裕がありそうだ。
俺達の周りに居たオークの上位種もかなり数を減らしている。
レイニーとエーファだけだった所に、オリヴィエが参加したので、余裕がうまれている。シロもスキルで援護射撃をしている。リーリアとステファナが弓で牽制している。
問題はなさそうだけど、武器は少し考えたほうがいいかもしれない。武器の損耗を考えると、しばらくはスキル中心に戦う事を考えたほうがいいかもしれない。
この上の階層の敵が何になるのかわからないけど、4階層に慣ればレベル4のスキルカードが入手できるだろう。
そうしたら、岩弾や水弾や炎弾のスキルカードと毒や麻痺や睡眠のスキルカードが入手できる。そうしたら、攻撃の主体をスキルに切り替えてもいいかもしれない。
カイとウミとエリンとアズリはすでにオークキングとオークの進化体を倒している。
周りに居たオークの上位種の掃討も終わっている。
あとは、エーファとレイニーが対峙しているオークの上位種とオリヴィエが誘導した上位種が残っているだけだ。
ティアとティタとライでスキルカードと魔核を集めてもらっている。
戦闘が終了したらすぐに、上層階に向かおうと思っている。
エーファの短剣がオークの喉を切り裂いた。
オリヴィエもそれを見て、オークの足を切り、バランスを崩させて、エルマンとエステルが交互に攻撃してオークを倒した。
最後のオークが吸収されたら、前後の扉が開いた。
これで4階層に行ける。
「上に行くぞ!」
皆も解っているのだろう、開いた扉に急ぐ。
今回も同じようにスロープになっている。
流れ作業で、扉を開けようとしたステファナとレイニーを制した。
「レッチェとレッシュとエルマンとエステルは、今回も同じようにして欲しい」
4体を見る。
問題は無いようだ。
「オリヴィエ」
「はい」
「今回は、すぐに魔法陣を出させない」
「休憩を取ってから戦うのですね」
「武器のメンテナンスもしたほうがいいだろう?先の戦闘で消耗しているだろう?」
「そうですね。どのくらい休まれますか?」
「時間的に、しっかり休もうと思う。準備を頼む」
「かしこまりました」
浴場も2つ出す事にする。
「ステファナ。レイニー。レッチェ、レッシュ、エルマン、エステルの準備ができたら、扉を開けろ!」
「はい」「はい!」
準備が整って、扉が開かれた。
広さは同じくらいだろう。今回も全員で挑めるようだ。
部屋の広さを確認して中央に、レッチェが降り立った。
これで大丈夫だろう。俺達も順次、新たな階層主が待つ部屋にはいる。確認の為に、全員が入っら扉を閉める。
魔法陣が出ない事を確認した。
レッチェが居る位置は、魔法陣が表示されない事がわかった。
どのくらいの魔法陣が出るのかわからないので、ひとまず半径2m範囲内だけで確認した。
問題はなさそうなので、印を書いておく。
その中に最低でも1人は居る事にして、順番に風呂と睡眠を取る事になった。
眷属用の浴場も用意した。ステファナとレイニーが順番に身体を洗っている。ティアとティタは、オークやゴブリンやコボルトの返り血を浴びているので、しっかりと洗うようだ。本人?たちは、スキル清掃で終わりにしたがっていた、ステファナが許すはずもなく、哀しい鳴き声を残して連れて行かれた。
俺とシロはいつものように風呂に入る。
シロもお腹が痛くなる週間が終わって、嬉々として居る。どこでそんな知恵を付けたのか、この後にしっかり寝るためにも沢山触って欲しいと、耳を真っ赤に染め上げて抱きつきながら言ってきた。
しっかり言えたご褒美にしっかりと触って満足させた。シロが浴槽で寝てしまいそうになるまで触っていた。
中央に俺とシロが寝るテントが用意されていて、その周りに身体を洗い終わった、カイとウミが寝そべっている。
ライも一緒だ。万が一、魔法陣が現れた時でも対処が可能なようにしているようだ。
食事をしてから、もう身体を温める為に風呂に入ってから、テントでぐっすり休む事にした。
皆それぞれ休むように言ってある。
カイとウミとライには悪いけど、魔法陣が出ないように床で休んでもらう事にした。
しっかりと休んで、シロを起こしてテントから出る。
エリンとアズリ以外は、武装を整えて待っていた。
軽めの食事を取ってから、武装の確認をする。
ここでは、レベル4のスキルカードが手に入るはずだ。
戦闘系のスキルカードの入手ができれば、しばらくここでスキルカードの補充を行ってから、上層階に向かう事を確認する。
野営の撤去を行い。
魔法陣の出現ポイントの確認を行う。
魔法陣の大きさは、1階の時と同じくらいだろう。
さて、どんな
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