死後
@chibichan
第1話
私達は皆死後を知っていたんだ
私は全てが嫌い
人が嫌い自分も嫌い
世界の真理が嫌い
嫌い嫌い嫌い
だから、逃げたかった
こんな世界に居たくない、だから
死んでやった
暖かい…
人には見えてない様だ しかし私はまだ。
まだ、嫌いなこの世界に存在している。
いや、誰にも認知されていないのに存在してると言えるのだろうか、そんな事、私には分からない
ものに触る事も出来ず
人にも見えてないのにどうしろと言うのだろう 途方も無く彷徨い続けろという事なのか…
????
なにか…聞こえる…
音が聞こえる
なんの音?
私の中から音が聞こえる
心臓の音?いや、それだけじゃない
筋肉の動く音…それに、声?
声がする。なんて言っているんだろう
分からない
分からないまま しばらく日が経った
相変わらず音は消える事を知らず
ずっと私の中で鳴り続けている
しかし変化もあった
それは、私の中から聞こえてくる声がはっきりしてきた事。
それにしても死んで尚 こんな世界に残されて
何も出来ず、ただただ、私の嫌いなこの世界をぶらつき回る事しか出来ない日々
私は何のために死んだのだろう
そんな事ばかり考えた
私の心が乱れると必ず
私の中で聞こえる声がこう言うの
「いーたーいーっ!」って
そして私の事をぽんぽんって揺すぶるの
そうすると私は不思議と落ち着いた
それし私が死んだ筈の日から9ヶ月…
いや、10ヶ月程経っただろうか、
音には慣れ、声も最初よりはっきり聞こえてくる様になり、それにつれ、私はこの世界から消えて行く…自然とそう感じ取っていた。
消える!!!!
そう思った瞬間
今では聞き慣れた声が私の中で大きく響いた
「私も頑張るから あなたも頑張れよ」って
私はなぜまだ存在し続けるのかも分からない世界から消えた…
そして…
暖かさが無くなった。
その代償に
実感…
触られてる感覚
見られる感覚
呼吸する感覚
そして忘れたはずの
忘れたかったはずの生きる感覚
私は、また存在するんだ…
存在し始めるんだ。
存在して 時間が経つ事に
今までの事が思い出せなくなっていった。
死後 @chibichan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます