第13話

「今日は俺のベッドを使え。明日には広軌のが届くから」

ナギさん本当にあなたって人は甘やかしです。隙だらけですが。

「そんな事言わないで下さいよ、オレはソファーをお借りします」

もしくは寝袋。

「じゃあ、一緒に寝るか」

「はっ?!」

神様ありがとうございます!

「俺も、何だか疲れたし」とソファーに腰かけた。え。一緒にソファーで寝るんですか。ガッカリ。いや、狭くてガッカリ。狭くてもいいんだけど意気消沈。

「ん?」

ナギさんに不審な行動を見つけられた。

「こっち、来い」

ナギさんが眼鏡を外して手招きするので「はい」と歩み寄った。

「寝転がって。ここ、頭載せて」

自分の腿、叩いてますよ。え、いいんですか。

「膝枕してやるよ。訳が分からないけどおまえ、不貞腐れてるから」

贅沢なんですけど。でも腿が細くて感触が痛いです。しかし温かいな。

このまま寝たらナギさん足が痺れてしまうよな、どこで切り上げたらいいんだ。

何だかドキドキするし、いい香りがする。香水か柔軟剤かな、何使ってるんだろ。

「ナギさ……」見上げて仰天した。

寝てる。ソファーの肘に頬づえついて寝ちゃった。

無防備すぎる、オレが襲ったらどうするんだ、本当にあなたって人は。

あ、でもこれ物凄いチャンスじゃないか。天からの授かりものだ、据え膳食わぬは男の恥、キスしても起きないよね? それくらいなら許されたりするよね。

ゆーっくり体を起こして狙いを定めたら「!」可愛すぎる、この寝顔。本当に年上ですか、肌も綺麗じゃないですか。怯んだら、気配を察知されたのか、目がうっすら開いた。あーあー。

「……? 寝心地悪いか、やっぱり」

「いやいやいやいや、そんな事ありません!」

「うるさい。寝てろ」と頭を撫でられた。犬とか猫扱いかな。ペットかな。贅沢な扱いに間違いは無いんだから幸福だ。

しかし、本当に手を出す気がないんだな。その気が全く感じられない。だから、こうして悶々とするんだけど。


でも本当に、オレの事を理解して一緒に住んでくれる事は何にも変え難い幸せだ。心を許せる人と過ごす時間の贅沢さ。いいんだろうか。


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