釜玉うどんとカッターナイフと恐怖症

@arikasi_tia

リベンジ・オブ・釜田

俺の名前は釜田かまた。釜玉うどんという種族の冒険者だ。頭部が釜玉うどんの形状をしている。

俺は今、深刻な問題に悩まされていた。

(お湯が…怖い…!)

俺たち釜玉うどんは、定期的に頭にお湯を注ぐことによって力を得て戦うことができる。だが、最近冷やし中華のうちの、冷中れいちゅう率いるやつらに負け、お湯をかけられまくったことでお湯恐怖症になってしまったのだ。

(このままでは…ダメだ!)

このままではろくに力を発揮できず、風呂にも入れない男として歴史に名を刻まれてしまう…!

「リベンジだ!やつらを倒して克服するんだ!」

俺は颯爽と武器屋に向かった。

           *

「おっさん!一番いい武器をくれぇ!」

「ふっ…ちょうどいいタイミングに来たな、最高の一品を入荷したところだぜ」

ナイスタイミング!流石武器屋のおっちゃん!

「どんな武器なんだ…!?」

……それはとても大きなカッターナイフだった。

武器屋のおっちゃんが饒舌に語りだす。

「この伸縮断絶クァッタヌーイフはうどんりきで刀身の長さを自由に調整出来て切れ味は最高、折れても刀身を変えることによって無限インフィニティィイイイイ!に使い続けることができる夢の武器だ!替えの刀身も軽くて持ち運びは楽!さらにさらに…!

「おっちゃああああんもうわかった!それもらうから!いくらだ!?」

しっかり金をもぎ取られた。しばらくはもやしとお友達だな…

「よし、これで準備は整った、やつらのところへ行くぞ!」

           *

道に迷い、数か月かけてやつらのいる場所についたが、どうやらやつらは武器の手入れをしているようだ。

(なんだ…!?あの武器は、俺と戦った時とまるで違う)

俺と戦った時は普通の箸状の棍棒だったはずだ、だがあれは…

(伝説と言われた武器、突き穿つ鉄塊ドゥリールじゃないか!)

だがこちらの武器も(おっちゃん曰く)伝説級だ。

「冷中!お前にリベンジを果たしに来た!勝負しろ!」

「ふっ…いいだろう、かかってこいっ」

冷中は突き穿つ鉄塊ドゥリールを構えて佇んでいる…

「まずはお前らからだ!くらえ!」

俺の伸縮断絶クァッタヌーイフがチキチキと伸びていき、取り巻きをなぎ倒していく。だが…

「くっ、やはり調子が出ないか」

うどん力が足りていないため、満足に戦えない。

「どうした、そんなものなのか?」

冷中がこちらを手招きで挑発する。

チキチキチキ!キュイイイイイン!チュドーン!ドガガガガガガガ

「このままじゃ…俺はまた、負けるのか…?」

その時、伸縮断絶クァッタヌーイフが光り、力が溢れ出した。

「「こ、これは…!?」」

「我はクァッタヌーイフの神である。釜田、汝がこの数か月クァッタヌーイフを磨き続けていたのは知っておる…汝に真の力を授けよう…」

そういい、神は消えた。

「これさえあれば…勝てる!」

「馬鹿な、俺の突き穿つ鉄塊ドゥリールが押されているだと…!?」

「これで終わりだあああああ!!!」

俺の伸縮断絶クァッタヌーイフが冷中を切り裂く。(※いい感じに切ったのでバリバリ生きておる)

「まさかこの俺が敗れるとはな…」

満足そうに呟く冷中に俺はお湯をかけ続けた。

冷中はただの中華になり俺は恐怖症を克服し、リベンジを果たした。

そして俺は伸縮断絶クァッタヌーイフを売り払い、優雅な暮らしを送った。

~Fin~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

釜玉うどんとカッターナイフと恐怖症 @arikasi_tia

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る