第7話
勉強は毎日頑張ってるよ。
最近はゆっくりキャンターでも我慢できるようになってきたし、大きな坂でもいっぱい走れるようになってきた。
なんだか、自分でも前とは違うなって思うんだよね。
少しは大人になったかな?
今日はお姉さんがおもちゃを持ってきてくれたよ。
大きくて丸くてやわらかい。バランスボールって言うんだって。
でも、お姉さんはどう使うかは教えてくれなかったんだ。
どうすればいいんだろう。
少し鼻先で転がして調べてみる。
あれ?何かついてるね。なんだろう。
気になるから口でくわえてみたら、みるみる小さくなっちゃった。
こうやって遊ぶものなのかな?
でも楽しかったからいいや。
お姉さん、また持ってきてね。
そういえばね、最近ご飯が多くなった気がするんだよ。
頑張ったごほうびかなって思ったんだけど、そうでもないみたい。
もう一回り、ボクは体を大きくしなくちゃいけないんだって。
お兄さんがご飯を持ってきたときにそう言ってたんだよ。
だから、ボクもいっぱい食べなきゃだよね。
今日のご飯はいつもよりおいしい気がするよ。
だから、いつもよりご飯の桶をガコガコさせちゃったんだ。
そしたらね……。
大きな音がして、桶が壁から外れちゃった。
まぶしいおじさんが様子を見に来てくれたんだけど、困ったような顔をして行っちゃった。
もしかして、ボク、悪いことしちゃった?
その次のご飯どき。
僕の部屋に見慣れないものがやってきた。
床にそのままドンと置かれてる。中にはなにか入ってるみたい。
これなんだろうと思って前脚で確認してたら、中身がいっぱいこぼれちゃった。
それでやっと中身がご飯だってわかって食べ始めたんだ。
もちろん、こぼれた分も全部ちゃんと食べたよ。
地面の草を食べてるのと同じだと思えば、どうってことないからね。
ご飯が終わって、窓から外を見ながら考えてたんだ。
ミツオー兄ちゃんのこと。
兄ちゃんもこんな勉強いっぱいしたんだろうなあ。
だからすごく強くなって、たくさんの人に覚えてもらえたんだよね。
母ちゃんの世話してたおじさんが言ってたんだ。兄ちゃんはすごく強かったから、ドバイってところに行けたんだって。
すごく強くなきゃ行けないところに行けたんだから、お前の兄ちゃんはすごかったんだぞーってね。
ボクも兄ちゃんみたいになれるかな。
きつくても諦めなかったらなれるのかなあ。
……よくわかんないや。
でも、兄ちゃんみたいになれなくても、たくさんの人に覚えてもらいたいなあ。
だって、ボクは人間が大好きだからね。
みんながボクのこと覚えてくれたら、きっとボクもうれしいと思うんだ。
え?
食べることだけ考えてたんじゃないのかって?
そんなことないよ。ボクだって色々考えることあるんだよ。
もちろん、畑のことも考えてるけどね。
じゃあそろそろ寝るね。おやすみなさい。
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