第133話 不手際
義父が他の係りの人を捕まえて聞いたところによると、11時ではなく12時でいいらしい。
何それ、昨日の時点では「くれぐれも遅れないでくださいね」という態だったし、仮葬場らしきところに12時30分に予約しに行っていたから、11時を指定されたのだと思っていた。
まぁ故人との別れを惜しみたい人たちにとっては待たされるぐらいの方がいいのかもしれないが、私としては不満が一つ増えたようなものだった。
少しの間、母のいる部屋に皆さんといたけれどそこに居てもなぁと思い、係りの人を探しに行こうとも思ったので部屋を出た。
その後しばらくして、やっと係りの人がお花を持ってやってきた。
そうしたらお隣さんが、自分のところでお花を用意して持ってきてくれていてそれも入れる事になった。
私と義父は昨日の打ち合わせ時に、お花の持ち込みは禁止だと言われていたので、せっかく母のために持ってきてくれたお隣さんのお花も断らなきゃいけなくなるかもと(伝えなかった私たちが悪い)ヤキモキしていたら、普通に「入れていいですよ」と言われた。
それもせっかく持ってきてくれたから入れていいですよと言われたわけではなく、持ち込み禁止なんて無いかのごとくのOKだった。
何それ。だったら家の花を入れてあげたかったと義父は怒っていたが、こういう時だから怒鳴ってはいけないと我慢し抑えたのだった。
昨日の担当者と今日の担当者が違うからなのか、色々と話が違う事になっていて私も義父も不信感で一杯だった。
ご近所さんの家族もここで葬儀をしたと言っていたし、この辺りの人は大抵ここでするのだろう。田舎だから近くにそんなに葬儀社が連立しているわけではなく、だからライバルが少ないのかもしれない。
そのために対応が怠慢になっているのだろうか。
親が亡くなったというのに、私が冷静過ぎるから病院の時もそうだが色々な事が気になってしまうだけなのだろうか。
何だか今回、どうも各所の対応に不満が残る。
それでも義父は、きてくださった皆さんに私が全部やってくれて助かった。本当にいてくれてよかったと言ってくれたけど、私は不手際もあって「そんなん言ってもらえるほどの事できてないよ」と思っていた。
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