第128話 母が亡くなった(葬儀社での打ち合わせ)

 ここで待たされている間に、義父には私が考えている送り方とそれには他社との相場からして大体20万円前後ぐらいはかかるだろう事を話してあった。


 なので先ほど、義父が「お金の心配はいい」というような事を言ったという事は20万円は用意出来るという事なのだろう。


 これから担当者に交渉するにあたって、まずは最低ラインを提示してもらってそこからプラスしていくやり方にしないと、と思う。


 初めから「20万ぐらいで出来るものを」なんて言ったら、オプションと言って色々追加されて気がついたら50万ぐらいになってました、なんて事になったら大変だ。


 しかも先ほど義父は担当者のいる前で「お金の心配はいい」というような事を言ったので、担当者は「このおっさん、意外に金もってんじゃね?」と思ったかもしれない。



 通夜や告別式をしないで送りたい事。


 特に信心深く信仰している宗教があるわけでは無いので、宗教的こだわりや送り方の希望は無い事。


 とはいえ、お骨はしっかり受け取りたい事。


 母はこのまま、連れて帰らずに送るまでここに眠らせておきたい事。


 をまずは簡易的に話した。


 私も今回色々調べる前は、通夜はまだしも告別式(いわゆるお葬式のメインっぽいやつ)をしないで送れる方法があるとは知らなかった。


 知ったからこそ、こういう交渉が出来た。



 ここの葬儀社とは火葬式についての話し合いはまだしていなかったが、やはりそれっぽい事が出来るらしい。


 通夜をしないので、夜はここに泊まることは出来ないらしい。

 それで私たちは構わない。


 お坊さんをお願いしないので、お布施代は発生しない。


 母の遺体も、家に連れてかえるより葬儀社に置いたままの方がお金が発生しないとの事だった。


 お骨も骨壷のランクがあるらしい。

 実家は持ち家で敷地は広いが、あまり大きなサイズだとそれを目にするたびにギョッとなると思ったらしく義父は小さいものを希望した。


 ここで本気か冗談か、義父が

「後から散骨でもしてやればいい」

 と言うと担当者が


「ああ、それは出来ません。一応法律で散骨はしてはいけない事になっているんです」


 と話した。そうだったのね、なんかテレビとかで見たような気がしたけどダメなんだ、と知れた。


 戒名が書かれる位牌も無し。

 だけど遺影は作る事にした。


 値段は2万強と、それなりにかかるがそれも無しとなるとあまりに寂しいだろう。

 S兄ちゃんの場合は遺影が無くて、『おおかみこどもの雨と雪』のお父さんのように免許証遺影になっているのだ。


 母は免許も無いので遺影を作らないと、それすらも無い事になる。

 写真はデータでもスナップ写真でもよくて、顔の大きさは親指大ぐらいあれば大丈夫らしい。

 それをこの後帰って探して、2時間後以内ぐらいには持ってこないといけない。

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