眠くなる歌
囲会多マッキー
第1話
これは、2195年、
とあるハッカーのイタズラによって
「警察は直ちに
そんな報道まで流れた。しかし、俺は絶対にありえないと思っている。
なぜなら────
今使っているからだ。
俺は眠っていないのに、何故そんな被害が出ているのか。全く理解できない。
「現在、警察は民間の企業の協力も得て
「美音は、大変なことをしているのでしょうか?」
「いや、大丈夫だと思うよ。とりあえず、美音のおまかせで歌ってもらえるかい?」
「分かりました。今から歌いますね。」
あ~。やっぱり可愛い。彼女に殺されるなら本望だろう。
職場を見ると、同僚どころか58歳を迎えた上司までこれを使っていたようだ。
────しかも、仕事中に。
俺のいる会社は、プログラミングの企業である。つまりはSEがたくさんいる会社だ。
この企業は、オタクと呼ばれる人種が多い。この会社だけ海外として認めていいんじゃないか?というレベルである。
トントン────
「・・・来客なんて今日、あったかな?」
トントン────
「どうぞ!」
ガチャガチャ────
なんで入ってこないんだ?
ドン────
バタン────
「なに、扉壊してるんですか!?」
「警察です。扉、押しても引いても開かなかったので。」
「だって、引き戸ですし。」
「あの取手でですか?」
「いや・・・今、取っ手が壊れてて・・・」
「・・・理由は聞かないでおきます。」
「ありがとうございます。で、要件は・・・勿論、あの件ですよね?」
「話が早くて助かります。」
「ワクチンを作ればいいんですよね?」
「はい。ウイルスの内容はこちらになります。」
机が書類の山になった。
「え・・・?こんなにあるんですか?」
「はい。人を意識しない時に眠らせるウイルスですから、相当難しいプログラムですからね・・・。」
「な、なるほど・・・」
「明日までにできますか?」
「はい?今なんて言いました?」
「明日までに、ワクチン作れますか?」
「無理ですよ!?この書類を読むだけで1日経っちゃいますよ!」
「・・・やって頂けますよね?」
「いや、2度も言わせないでくださいよ・・・無理です。」
「1人のSEなら仕事くらいちゃんと期日を守れますよね?」
「いや、300ページの文章だけの書類を読んでワクチンプログラムも作るのに期日が1日というのは、警察としては常識無さすぎませんか?」
「それは喧嘩を売ってるんですか?」
「いえ。とりあえず、3日下さい。と言ってるんです。」
「・・・分かりました。3日ですよ?」
「はい。絶対、完成させます。」
最後に契約の証である握手をして、彼は帰った。
「ご主人様?」
「なんだい?
「扉、壊れたままですけど・・・」
「あぁ・・・直さなきゃな・・・」
「慰められる曲を歌いますね。」
AIに慰められる時代なんだな。と改めて思った。昔の書物を見ると、AIが出てきた作品はほとんど見なかったからな・・・
「さてと・・・仕事するか。」
「ご主人様、やる気の出る曲を歌いますか?」
「あぁ、頼む。」
「かしこまりました。」
やはり、彼女の声は美しいと思った。
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