Part.7 恐怖の魔王からの招待状
アリシアは拗ねていた。
帰宅すると蒸気をあげる小屋が出来ている。フェスタ開催時、毎日サウナを浴びる程サウナに熱中していアリシアだが、ソテルの捜索事件以来サウナは封印されていた。そのサウナが目の前にあるというのにもかかわらず家に居た他の三人は彼女の誘いを断ったのだ。聞けば十数分前にサウナを終えたばかりで涼んでいるところだというではないか。
一人置き去りにされ、先にサウナを堪能されたアリシアは三人全員に不満を持って拗ねていた。どのように拗ねていたかというと夕食が大変質素なものになっていた。
「アリシア済まなかった。もう少し待ってやれば良かったな」
「ごめんなさいお母様、悪気があってみんなで入った訳では無いのです。ただそこにサウナがあったから……」
「みんなで入ったと言ってもサウナを見て順々に増えていった結果三人で入ることになっただけですよ。それぞれが個人で入ろうとしていたことには間違いありません。決してアリシアさんを除け者にしようと言う訳では無かったんです。まぁ一人で入るのは味気ないというのも事実。大変申し訳ありませんでした」
アリシアは依然拗ねている。
「私も完成した日にすぐにサウナ浴びたかったのになぁ」
「仕方ないだろう、サウナの浴びすぎは体に無理をさせる」
「でもみんなは楽しく入れたのに私はひとりぼっちなんだなぁ」
「あ、明日! お母様、明日一緒に入りましょう!」
「でも今日入りたいなぁ。でも今日は一人なんだなぁ」
拗ね続けるアリシア。このままでは埒があかないと思い旦那に視線を向けるがどうやらお手上げ状態だ。もしかしたらアリシアは拗ねさせると面倒なタイプなのかも知れない。
子供のように拗ね続けるアリシアをみてソテルは覚悟を決めた。
「俺、一緒に入りますよ。俺なら毎日サウナに入ってたから慣れてるし。それに少し浴びたり無いくらいなので……アリシアさんさえ良ければお供します」
ブリックスとステラはソテルを見つめると死地に赴く騎士を見るかのようにその目に敬意を表して着席したまま敬礼をした。茶番である。
アリシアを見るとソテルの言葉に目を輝かせ厨房へと向かう。元々つくっておいたのだろうか、いつも通りの豪華な料理がテーブルに並べられた。
「それじゃあソテル君、食事が終わったらサウナにはいろうね」
アリシアの言葉にソテルは覚悟を決めると絶品な料理を早々に平らげ、大量の水を飲み込んで戦へ出かける準備を整えた。
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