Case 1

01-1 来訪は突然に

 関東も梅雨の時期に入った頃。

 雨の降る音がBGMのように静まったオフィス内に響いている。

 人はいるものの意外とまばらで、私は赤坂さんの仕事を手伝いながら黙々とタスクをこなしていた。


 そんな中、静寂を裂くように一本の電話が入る。

 オフィス内が一瞬、緊張感に包まれる。

 雨の音が大きくなったような気がする。

 さっと受話器を上げ、京さん宛の電話であるととわかると滞りなく取り次いで一息。

「ふう」


 しばらくして電話を終えた京さんが赤坂さんを手招き、何やら話し合い始めた。


 今朝の占いは珍しく当たりだったし、もしかしたら今日は当たり日かもしれないなぁ

 と思いつつ、先程までの作業に戻る。


「綾瀬。これから出かけるから準備して」

「え、あ、はい」


 本当に当たり日だった。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る