教えて篠崎先生!

アキタタクト

第1話 『魔力と魔術について』

教えて篠崎先生!のコーナーだ。


自分の名前が入ったコーナー名を自分で言うのは抵抗があるな。


まぁいい。


私は篠崎響呼、ST科主任を勤めている。


君たちにはこのコーナーを通じて世界の基本を知ってもらおうと思う。


記念すべき第一回のテーマは『魔力と魔術について』だ。


まず君たちは魔力ってどんなものか知ってるかな?


魔術を使うための力?魔術の威力そのもの?


その認識は大まかに正しい。


基礎学科ではそのくらいしか教えないし、ほとんどの人はそう思ってる。


では、魔力の本質とはなにか。


魔力とは『精神エネルギーの流れ』のことだ。


まず精神エネルギーがわからない?


そうかそうか、それはすまなかったなぁ。


では我々にとって身近な運動エネルギーを基にして説明しよう。


言わずもがな、聡明な君たちには分かることだろうが、運動エネルギーの流れとは力の遷移だ。


つまり、動力源からもたらされるさまざまな影響のことだな。


それと同じで、精神からもたらされるさまざまな影響を精神エネルギーの流れという。


運動がそうであるように、魔力も使用する際にも熱や衝撃などの現象が発生する。


人はそれらをコントロールし、使用するすべを身につけた。


それが魔術だ。


では、運動エネルギーは人間の体が生み出すものとして、精神エネルギーはどこから生み出されるか分かるか?


そう、心だ。


人間の心、精神そのもの。


具体的にどこにあるかなんて聞かれてもわからん。


心の在りどころは人によって違うからな。


精神エネルギーは全身を巡っている。


訓練すれば、体外に放出したり体の一部に纏ったりすることもできるようになる。


魔力については大体わかったか?


次は魔術について説明することにしよう。


まあ、もう察した奴もいるかもしれないが、魔術とは魔力の変換方法のことだ。


意識せず使ってしまうと、結果だけが魔術に見えるかもしれないが、魔力を魔術に変換するプロセス全体を魔術と言うんだ。


魔力を術式にかけて、魔術に変換する。


術式についてはまた今度話すことにするが、ここでは簡単にコンバータだと思ってくれ。


魔術はこのコンバータを介すことによって様々な形、様々な形質に変性させるとこができる。


例えば生活の中でよく使われている炎(ほむら)の術式や水の術式だ。


他にも風、土、雷、氷、光、闇など、様々な分類が存在する。


私が今手に持っているものはルーンという簡易版のコンバータだ。


ルーンについても別枠に授業を取る。


こんなところだろうか。


魔力と魔術、わかったかな?


心が生み出す精神エネルギーと、それを変換して様々な応用をするための魔術。


特にモンスターに襲われた際の牽制や、遭難した時の目印にもなる炎の術式は覚えておいて損はない。


学科じゃ大した魔術は習わないかもしれないが、興味が出たなら魔術について書かれた本でも買って読んでみるといい。


きっと役に立つはずだ。


それから、魔術に長け使いこなす者たちを魔術士と呼ぶ。


彼らは公安組織とは別の、精鋭として街を守っている。


君たちの中からも魔術師になる奴が出てくるかもな。


『魔力と魔術について』の授業はここまでだ。


次回は『ルーンと素質について』を説明しよう。

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