第984話 ゲスト出演(3)勘違い
小屋の残骸から白骨化した遺体が発見された。
幸いな事に、「雰囲気のある石」を洗わずに展示した事で血痕も犯人の指紋も残っており、ロープからは猫の毛が検出された。
そこから傷害の前科のある男が浮かび、任意同行して事情を訊いたところ、木下さんを石で殴って殺害し、小屋に放り込んだ事を自供した。
あそこに行った時、飼いネコをロープで枝に吊るそうとしていた木下さんを見て、カッとなったと供述した。
実際は、殺されてロープで吊るされていたネコを木下さんが外していた所だったと告げると、一瞬呆けたような顔になり、わっと泣き出した。
木下さんは
「仕方がない」
と苦笑するだけで、お人好しな人だったようだ。
ネコは、飼い主の勘違いで死んでしまい、あそこで見付からないままでいた木下さんを無事に発見させたことに満足したのか、もう関心がないような顔で、丸くなるだけだった。
そんな木下さんとネコを成仏させると、この件は終了した。
お化け屋敷の方は、別の石とロープを新たに置いているが、どこからか事件との関わりが知られ、連日盛況だそうだ。
「勘違いで殺されたんじゃ、浮かばれないよな」
「もっと暴れるかと思ったよねえ」
僕と直はほっとしながらも、木下さんの今後を祈らずにはいられない。
なので、小野さんにそれとなく、この事件の事を知らせておいた。どうなるかはわからないが。
「ネコは、近所のワルガキが遊び半分にやったみたいだねえ」
「ああ。別の場所で同じ事をして捕まってたな。
エスカレートする前で良かったが、遊び半分でよくもできるな」
「あはは。そう言えば今回も、怜、ネコを触れなかったよねえ」
「何でだろうな。呪い?これ、何かの呪いか?」
「ネコカフェとか行く?」
「ううーん。あれは何か違う。あれって、ネコに接客されてるわけだろ?ホステスさんにいいようにあしらわれてる男みたいじゃないか?」
「面倒臭いねえ」
聞いていた徳川さんがプッと吹き出した。
「今日は面倒臭いが反対なんだね」
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