夢のあなた
カゲトモ
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「あれからあの夢、まだ見ているんですか?」
「え?」
そう言えば、と思い出して訊くと彼女はきょんとした顔で返した。もしかして忘れちゃった?
「・・・あ、あぁぁ」
斜め上の方をじっと見てから思い出したように両手を叩いた。「あの変な夢ですか」
そうそう、それ。
「あれからもうみられませんか?」
夢の中に同じ男性が現れるってやつ。内容は違う夢なのに現れる男性は同じで、しかもその人は知らない人ってやつ。
「そうですね、そう言えばまだ見ます。たまに、ですけど」
その答えに『あれ?』と違和感。以前はもうちょっと気にしている感じだったのに、今では慣れたと言うかもう気にするほどでもなくなったって感じがする。確か半年くらい前のことだったと思うけど。俺ならそんなに長い間同じ人が夢に現れるのって怖くて堪らないけどな。
けど彼女は本当に気にしていないって感じの、っていうかどうでもいいって感じの表情で言った。
「まぁもういいかなって思って。私がどうこうしても夢の内容をコントロール出来るわけじゃないんで」
「確かにそうですけれど」
自分でコントロール出来ないからこその夢だものね。
「それに、その人が誰か分かったんで」
「え、なんですって?」
まさかの言葉をさらりと言ったヤマギシさんに手元のグラスに落とした視線を勢いよく上げる。
一体それは誰だったの!?
「えっと」
ヤマギシさんはじっと視線を合わせてはっきりと言った。
「分からないです」
なんですって!
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