アルカナ・ドラグーン 第4章あらすじ

キール・アーカーシャ

第1話

 アポリスと共闘している内に、友情が芽生えるロータ。

 そして、彼はアポリスと取引し、機体を置き去りにし、自らは《機構》へと赴く事に。

 アポリスは機体の強奪に失敗したため、査問会に掛けられる。

(ただ、機体よりパイロットの確保を優先したアポリスの手口を評価する者も居た。)

 ロータは《機構》のパイロットとして、戦う事に、

 ただ、彼は一抹の不安を覚える。

ロータ(なんだか、これは外資系企業による引き抜きにも似ている気がするな。

    転職ってのは人生における大きなターニング・ポイントだ。

   《転生前》の俺はオファーがあったにも関わらず、職場の雰囲気や同僚との

    関係ってのを優先して、現状維持を選んだ。

    そして、転職してって奴を『バカな事をしたモンだ』と思い込もうとした。

    しかし、今にして思えば、給料を優先してりゃよかったな。

    結局、どんなに働いても、タダ働きさせられる企業にしがみついてたなんて。

    給料が高いって事は自分を評価してもらえてるって事だし、本来、チャンスを

    与えられる可能性が高いって事で。

    ただ、現状の安定性を優先したとも言えるか?

    いや、給料もロクに払えぬ企業に安定性も何も無いな。

    外資は終身雇用じゃないが、それでも会社がつぶれたら、何もかも

    オジャンだ。

    沈む舟には乗りたくない。

    歴史で言うならば、結果を知ってるなら、項羽に仕えずに劉邦に

    仕えたいし、劉備に仕えたくとも、曹操に仕えた方が勝ち組だろ

    う。

    まぁ、理念が一致しているに越した事は無いが……。

    しかし、ここで問題があるとすれば理念が真逆の時だ。

    たとえば、右と左があるとして、左寄りの組織に右寄りの人間が入ると、

    大変だろう。民主党と共和党があるとして、民主党系の企業に共和党の

    支持者が入ると、自らを殺して生きなきゃいけない。

    まぁ、迎合するってのが常なんだが。

    

それで、この異世界の《機構》において、どうにも俺とはスタンスが合わない

    気がする。困ったモノだが、もう決めた事だからな。

    これで理念が一致してたら、尻尾を振ってでもスカウトされたんだが……)

    

ロータ(ただ、一つ良い点があるとしたら、アポリスの性格だな。

    彼は項羽というより曹操タイプだ。

    両者とも優秀だが、自分より優秀な部下に嫉妬したりするか、

    厚遇するかが大いに違う。

    すなわち、部下を駒と見て自ら動かすタイプか、部下を宝石の

    ように愛でて、磨き揃えるのを楽しみにするか。

    もっとも、アポリスの性格というのは、どうにも読めないから、

    これは大いに前提が間違って居る可能性がある)


ロータ(それと一つ気になるのは、《機構》の正体だな。

    どうも、転生者や転移者を優遇してるようだが、

    もしかしたら、創設者も転生者なのか?

    ただ、気がかりがあるとしたら、転生前や転移前の能力に

    依存している感じがするって事だな。

    知識の大半は転生時にモヤが掛かったように消えるが、

    基礎的な思考力は依然として残る。

    しかし、たとえば秘密結社があったとする。

    一つは優秀な人材が集まり、生まれてからも努力し能力を高める。

    もう一つはそれなりに優秀な人材が集まるも、あまり努力せずに、

    入ってからは堕落してゆく。

    後者の場合、それは組織や集団の力と称するコネで、世界を回そう

    とする。そして、社会は衰退していく。

    この異世界における《機構》はイメージとして言うなら、後者に部類

    される予感もするんだよな。

    ずいぶんと攻撃的だしなぁ。有形力の行使というか。

    

なんていうか、考えれば考える程、嫌な予感もするが、転々と職場が

     変わるなんて、世の常になりつつあったし、何処に出ても通用する実力

     を身に着けるってのが、重要なんだよな。

     というか、個性というか、俺の場合はパイロットとしての技量か……)


 だが、ロータは知らぬが、アポリスが真に評価していたのは、1(いち)パイロットと

しての資質だけでなく、集団を指揮する素質をロータが有している点であった。






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