なんとなくの
華子
プロローグ
この死にたい思いは、いつもいつも消えない。
生活も普段と変わらない。むしろちゃんとした生活をしたい。
愛する人もいる。その人を守りたい。
なのに死にたい。死にたい気持ちが片時も頭から離れない。
大きい地震があった。
机の下で揺れに耐えながら、ふと、もうこのまま終わるのかな、と思った。すると、とても清々しい気持ちになった。
その時私は、いつでも死を受け入れられると思った。
死にたいと思って何年経つだろう。
良いことがあっても、嫌なことがあっても、死にたかった。
でも死にたいと思いながら何年も何年も生きてきた。
私はいつ死ねるのだろう。
私は今まで沼に半分浸かっていた。
なんとかそれがバレないように、私が私を後ろ手で沈まない様に引っ張っていた。
表ではにこやかに楽しく振る舞い、後ろでは沈みそうな私を引き上げるのに精一杯だった。
沈みかけている私は、もう終わりたい人だった。
前の私に、もういいよ。疲れるよ。何か良いことあるの。
と私の声で私のやる気を削ぐ言葉をかける。
前の私は、たまに引き込まれそうになるが、なんとか楽しいことを見つけて持ち直していた。
楽しいことなんて本当は楽しくも何ともない。
ただ愛情が欲しくて、もがいて、笑顔を振り撒いているだけのその場しのぎの腐った笑顔。
所詮は後ろの私も前の私も同じなのだ。
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