ミシェル達との出会い。

第4話

「よし! ご飯だぞ!」


「そんな大きな声出さなくてもいいから!」


「うるさい!」


「今行くから!」


他の入学生(?)の3人。なんでこんな怖い人にあんな強気なの?


「あいつら・・・!」


俺の頭を鷲掴みにされる。


「八つ当たりしないで!痛い!」


「え!? 新しい人来てたの!?」


 慌てて壁を使って降りてきた。流石と言うべきか、ご飯があるんだから階段を使えよ。と言うべきか・・・。


「いただきます!」


「おい!」


「ん? 何?」


「自己紹介くらいしろ!」


「あ、大丈夫です。部屋の所に名前ありましたから」


「は? それで覚えたってのか?」


「はい。覚えました」


初めて見せた顔をしている。


「・・・なら、私は?」


「ミシェル・ヴァレーヌさん。8月30日木曜日生まれ。好きな食べ物はみかん」


「・・・なんでそこまで知ってるの。」


「外れてましたか?」


「いや、あってるんだけど・・・」


「お、お前・・・そんな才能あったのか・・・?」


「才能じゃないです。ただ、推測しただけです」


「いや、その推測を当ててくるだけでもすげぇよ・・・」


「感心されたところで、君の名前は?」


「エリック、よろしく」


「・・・感心してないんだけどな。」とブツブツ言っているダミアンをよそに離しているこの3人の度胸がおかしい気がする。


「「ごちそうさまでした!」」


「あ~!お腹いっぱい・・・」


「自己紹介、してねぇじゃねぇか!」


「あ、忘れてた」


 ダミアンの一言で再開した自己紹介タイム。


「右からミシェル、アレクサンドル・ボワロー、ステファン・フォルタンでしょ?」


「・・・あ、あってる」


 その後、彼らとダミアンの想い出話を少しした。


「じゃあ、疲れたから寝ます」


「お、おう」


部屋は普通に広かった。全然この部屋ひとつでアパートの一室くらいある。


「・・・なんか落ち着かないな」


 あまりに広すぎて、逆に落ち着かない。今日は仕方ないので、明日にでも部屋にものを置いて幾らか狭くしようと思った。


興奮しているので寝付けないと思ったが、身体は正直に睡眠を欲していたようだ。すぐに眠りに落ちた。


雀の鳴き声が聞こえる。段々と意識がはっきりしてくる。


ドンドン────


ガラガラガラ────


 え?なんか、普段なら聞かないような音が聞こえる。


「・・・また、指切っちゃったよ」


 俺が見たのは、ダミアンがキッチンに立っている姿だった。


「痛てっ。またかよ・・・」


 指、切りすぎでしょ・・・。何回切る気なのさ・・・


「ダミアン、おはよう。代わるよ」


「あ?子供に料理が任せられるかよ」


「大丈夫。家で沢山やってたから、ダミアンよりは上手だと思うよ?」


「お、そうか。なら、俺も手伝うから教えてくれ」


「うん!」


 なんか不思議な感じだった。死んだ母さんみたいな愛情と、父さんがソファで俺たちを微笑みながら見守っているような・・・


「おはよう!」


「おはよう」


「・・・早速、エリックに料理させてるわけ?」


「ち、違うぞ? 俺はだな・・・」


「俺が手伝うって言っただけだよ」


「なら、私も」


「ちぇっ。これじゃあ俺の出る幕じゃねぇな」


「そうね。なら、休んでていいわよ? どうせ夜もろくに寝てないんでしょ」


「あぁ、すまんな。少し横にならせてもらうわ」


「はーい」


「あ!」


「・・・何?」


「火の始末は気をつけろよ!」


「分かってるわよ。任せときなさい」


「お前が一番心配なんだよな・・・ミシェル」


「えぇ・・・最年長なんだけど・・・」


「まぁ、気をつけてな」


料理を続ける俺とミシェルであった。

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