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「花菱さんは宿題を始めの方に終わらせるタイプだった?」
「まさか、やるやる詐欺で最終日に泣きながらやるタイプでした」
しかも新学期が始まってからの提出期限のギリギリまでやっているタイプだった。逆にそっちの方が夏休み明けのテストに有利だったりして。計画性? そんなのは大人になるにつれて出来てくるもんだ。まだ出来上がっていないって? まだほんの三十路だからね。
「あらそうなの? 見えないわ」
「本当ですか? ただの怠け者でしたよ。宿題もせず遊び回っていました」
それこそ夏祭りなんて朝から晩まで友達と遊んでいた。長い夏休みで一番に楽しみな日だったし。
「ふふ、子供はそうでなくっちゃ。あの子達も本当に楽しみにしていて、昨日の夜はなかなか眠らなくて困ったくらいよ」
それも憶えがある。んでなんでか朝早くに目が覚めてその夜は泥のように眠るんだよな。
「今の子供は習い事やなんやで大人と同じように忙しい日々を送っているから、ここにいる時くらいはゆっくり過ごしてくれたらって思っているの。あまり甘やかさないでって娘には言われるんだけどね」
「美味しいお菓子も沢山食べさせたりしてね」
「そうなの。見つからないように食べさせるのって大変なのよ」
なんて微笑ましい話を聞いてどれだけお孫さんのことを溺愛しているかを感じ取る。いいよね、祖父母って。ちょっと羨ましい。
「だからお母様が子供にお菓子を与えても、花菱さんはあまり怒ったりしないであげてね」
「いつの話ですかそれ。まずは相手から見つけないと」
突っ込むと保住さんは含みのある笑みを向ける。いや、だからそう言う相手本当にいないから!
「お祭り、楽しんで来てくださいね」
ベランダから他のマンションで隠れて欠けた花火をビール片手に見る俺の分まで。
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