現代病床雨月物語 第十六話 秋山 雪舟(作)
秋山 雪舟
「入院徒然記(後編一)」
二○一七年、血液内科の病棟に入院しました。病室は四人部屋で今回は窓側のベッドでした。
入院での目標は、ハッキリしていました。「特発性血小板減少性紫斑病」という難病治療の為です。
しかし担当医師と私は、この治療と同時に今までの感染予防の薬でも一向に好転しない白血球減少症・好中球減少症もなんとか改善出来ないかと考えていました。
担当医師からは、最短で三週間の入院と聞いていた私は何とか今回の入院で病気を克服して一ヶ月で退院したいと思っていました。そのため入院の一日一日を大切にしたいと考え一日の日課を決めていました。
一つは身体的な事です。入院中はどうしてもベッドで横になっている事が多いので足腰が弱らない様に一日、十五分以上の歩行を心がけていました。
二つ目は心理面で落ち込まない様にすることです。その為に自然の力を借りました。毎日「日の出」を観る事です。
今回の入院で一番変わった事は、私の携帯電話がガラケーからスマホへと変わった事でした。スマホになり飛躍的にあらゆる情報に触れる事が出来ました。まるで鎖国の日本から一挙にG7の日本になった感じでした。この文章を発表出来るのもスマホのおかげです。
入院中は必ず前日に「日の出」の時間をチェックしてその時間前に起床しました。それから談話コーナーに行き「日の出」の観察が出来る窓の横で椅子に座っていました。太陽が完全に地上と切り離され空中に浮上するまで観ていました。そしてスマホで写真を撮り本日の「日の出」として妻(宝雪)に送信しました。結構清清しくなり元気をもらいました。また隔日で早朝に採血がありましたので「日の出」観察の後にナースステーションで採血をして体重も計測しました。
二〇一七年の入院治療の結果は、私の希望どおりにはなりませんでした。入院期間は一ヶ月を越え四十五日間になりました。また「特発性血小板減少性紫斑病」の治療は大幅に改善が出来ましたが白血球数・好中球数の改善は思いどおりには行きませんでした。
あきらめる訳ではありませんが血液疾患の治療の難しさを身を持って体験しました。これからも感染予防に注意をして治療を進めて行きます。
現代病床雨月物語 第十六話 秋山 雪舟(作) 秋山 雪舟 @kaku2018
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